2007年05月03日
玄関のタイル工事
ゴールデンウィークのお勤めはタイル工事に始まる。築30年を迎える我が家の玄関タイルについて、家内から改修の要請がある。曰く「白と黒の玄関タイルが葬式のようで暗い」と。筆者は全く気にならないが、感性の違いを議論して得るものはない。主張を全面的に受け入れることにする。しかし、それと工事の実施は別物である。これまでマゴナ研究室はDIYを活動の基本方針とし、地球環境に優しい生活の実践に努めてきた。そのマゴナ研究室にあってもタイル工事のハードルは高い。過去に屋外タイルの工事にチャレンジしたが、タイルをうまく切断できなかった苦い経験がある。タイルの切断には押し割りタイルカッターという専用器具が必要であるが、価格は安いもので1万円、使える物は3万円もする。わずか1.5㎡の工事に、使用頻度の低い高価な工具を購入するのは割に合わない。こうした技術的かつ経済的な問題もあり、家内の要請をずっとシカトし続けてきたのだ。(写真は工事前の玄関の様子)
ところが、ここ数日の家内の言動から、それも限界だということが明らかになってきた。悩んだ末に、塩化ビニル系のPタイルを使った簡易工事でお茶を濁すことにする。Pタイルはオフィスなどの床材として使われ、切断も容易である。工法は、玄関タイルの上をセメントで平らにならし、接着剤でPタイルを貼り付けるというものだ。早速、ホームセンターに向かった。ところが、そこで店員さんに工法を相談する中で、タイル切断の必殺技を教えてもらった。「タイルはグラインダーと硬質タイル用のダイヤモンドカッターで簡単に切断できる」とのこと。グラインダーならタイル以外の切断や研磨にも使え、道具として持っていても損はない。その場でタイル工事に方針変更だ。一番安いグラインダーは1,980円。それにダイヤモンドカッター4,500円、30cm角のタイル18枚8,370円(@465円)、セメント用の砂145円、作業用革手袋98円を購入した。しめて15,847円(消費税込み)である。なお、セメントは在庫があることから今回は購入していない。(写真はグラインダーとダイヤモンドカッター)
工事はタイルのカットから始まる。飛び散るタイルの破片や火花から身を守るために、ゴーグル、革手袋、長袖の作業着の完全防備での作業だ。正直いって、高速で回転するグラインダーは恐ろしい。グラインダーの歯が欠けたらと想像すると身がすくむが、気合いを入れて作業を続ける。床用タイルの厚さは約1cm。それがいとも簡単に切断されていく。気を抜くと切断面が曲線を描くが、二枚、三枚と切断するなかで、次第にほぼ真っ直ぐに切断できるようになった。(写真は資材、工具が散乱する作業現場の様子)
次の作業は、玄関タイルにセメントをほぼ1cmの厚さで敷き詰め、その上にタイルを貼り付けていく。難関のタイルカットさえ終われば、作業は極めて簡単だ。多少、気を遣うのはタイルの目地部分にセメントを隙間なく詰めることくらいだ。今回はセメントと砂の比率を1:2程度としたが、仕上がった目地部分の質感から判断すると、セメントの比率を上げたほうがよかったと思われる。
完成した玄関タイルは左写真の通りであり、自己評価は90点とほぼ満足のいく水準である。満点を逃したのはセメントと砂の混合比率が今一歩であったことだけだ。作業時間は概ね3時間。7年間放置し続けてきた宿題も、問題解決の糸口さえ見つかれば、あっという間に解決できてしまうのであった。
【閑話休題】
今回のグラインダーの購入により、マゴナ研究室の電動工具は、ジグソー、丸ノコ、サンダー、充電式電動ドリル、インパクト式電動ドリルと合わせて計6台となった。恐らく一般家庭より多くの道具を保有していると思うが、これも地球に優しいDIYを実践するには必要不可欠なものである。しかし、本音を言えばDIYは必ずしも地球にとって優しいとは限らない。家族に必要なものをDIYで製作しているうちは概ね感謝されるが、そのうち家族の依頼品はすべて作り尽くしてしまう。その間、工具類は増殖し続け、創作意欲は高まるばかりである。結果、ニーズのない作品が乱造され、ウサギ小屋並の住居スペースを占有することになる。ここまでくるとDIYも資源の浪費でしかない。このように一般家庭における行きすぎたDIYの実践は、環境破壊と表裏一体ということをつくづく思い知らされてしまうのであった。(笑)