てぃーだブログ › マゴナ研究室 Magona Laboratory › 生活 › 家を創る① 構造編

2013年04月22日

家を創る① 構造編

家を創る① 構造編高級住宅街に佇むコンクリート造りの「マゴナ研究室」の住宅(兼研究室)も築40年を迎え、屋根裏のコンクリートが剥離・落下するなど、建て替えが必要な状況となってきた。一般的なサラリーマンにとって、住宅建築は一生のうちに何度もあるイベントではない。それなりの「こだわり」をもって取り組む必要がある。

今回の記事では7カ月にわたる建築期間を経て、やっとのことで竣工を迎えた「マゴナ研究室」の住宅(兼研究室)建築の足取りを備忘録の形で残し、住宅建築でお悩みの読者に何らかの形で役立つ情報を提供してみたい。 (左写真は竣工直後のマゴナ研究室)

ちなみに「こだわり」と言っても、機能面・デザイン面・価格面など、人には色々な「こだわり」がある。ところがデザインは感性の問題であり、いくらウンチクをたれても一般論としてはさして意味を持たない。したがって今後の記事では、より一般的な議論の展開を目的に機能面・価格面にポイントを絞ってみる。以下、第一話として「マゴナ研究室はいかに住宅構造にこだわったか」というテーマで話を進めよう。

地球温暖化に伴い気象変動が激しくなっている昨今、沖縄においても大型台風の頻発化が懸念されている。よってパナホームや大和ハウスに代表される軽量鉄骨住宅やタマホームやイシカワに代表される木造住宅は、暴風雨への耐性が鉄筋コンクリート造に劣る可能性が高いという理由から、当初より「マゴナ研究室」が採用する住宅構造は鉄筋コンクリート造にすべきとの決定があった。

ところが単にコンクリート造と言っても、沖縄では一般的に2種類の建築構造が用いられている。一つはいわゆるコンクリート流し込みによる鉄筋コンクリート造(以下、RC造と呼ぶ)であり、もう一つは積み上げたコンクリートブロックを鉄筋で補強する補強コンクリートブロック造(以下、CB造と呼ぶ)である。

建物の強度を上げるには一般的にRC造が有利であるが、いかんせん建築単価がCB造より高いという欠点がある。「マゴナ研究室」が今回の工事を発注したハウスメーカーの標準建築単価はRC造が約50万円/坪、CB造が約45万円/坪であった。当然のことながら、実際の建築単価はオプション設備の追加や外構工事などで大きく膨らむこととなるが、少なくとも構造の違いだけで坪5万円の差が生じるのは間違いない。

家を創る① 構造編あまり裕福ではない「マゴナ研究室」にとって、この5万円の差はいかにも大きい。40坪なら200万円の差となる。そこでCB造を採用することで建築単価を抑えつつ、その強度を高める作戦を考えてみた。(左写真は内装前のCB造の建物内部。積み上げられたコンクリートブロックと流し込み部分の様子がよく分かる)

その作戦の一つは生コンクリートの強度アップである。生コンクリートの強度の単位としてよく用いられるのは「コンクリートの限界圧縮強度」であり、N/mm2(ニュートン)の単位で表される。仮に30Nの場合、10cm角のコンクリートで30トンの重さに耐えられる強さと考えればよい。ちなみに発注先のハウスメーカーが標準で採用するCB造の生コンクリート強度は21Nであった。

今回は設計士と相談でこの強度を1.42倍の30Nまで引き上げることにした。国が推進する長期優良住宅、いわゆる100年住宅の基礎用コンクリート強度は30Nとされており、これと同水準の強度を採用することで、我が「マゴナ研究室」も100年住宅となることを期待したうえでの決定である。この大げさな決定にも関わらず、この追加コストは1,300円/坪とさほど大きくないからビックリである。

次に考慮したのがコンクリートブロックの強度である。通常のコンクリートブロックの強度は11Nだが、今回は1.45倍の圧縮強度をもつ16Nの未来型高耐久コンクリートブロック(通称、スーパーブロック)を発注した。このブロックは(株)未来企画、琉球大学の森下教授、㈲大城ブロック工業らが開発したもので、2010年7月から市販されている。

家を創る① 構造編業者の謳い文句では、『従来のコンクリートブロックよりも強度があり、鉄筋コンクリート造よりも建築コストを抑えることができる。スーパーブロックは強度が強いだけではなく、透水性も低く水を通しにくいため、中の鉄筋が錆びにくくすることができることから、スーパーブロックを採用した建物は建物自体も“高耐久”なんです!』と強調されている。スーパーブロックの採用により4,950円/坪の単価アップとなるが、RC造との差額50,000円/坪に比べればはるかに安い。
(左写真は、積み上げられているスーパーブロック。見た目は普通のブロックと何ら変わるところはない)

生コンクリートとコンクリートブロックの強度を約1.4倍へ引き上げたことにより、建築単価はハウスメーカーの標準単価より6,250円/坪のアップとなる。本音を言うと筆者は設計士ではないので、この補強がどの程度住宅の寿命、強度向上に役立っているかはよく分からない。あくまでインターネット上の情報等を参考に、設計士と相談のうえ採用したというのが真実である。しかし追加コストは僅少であり、その効果もマイナスに作用する可能性がないどころか、むしろ100年住宅への期待感を掻き立ててくれる。こうしてみると坪6,250円/坪は住宅建築の保険料としては安いのではないかとも思われてくる。

後づけと思われるかもしれないが、「マゴナ研究室」の建築方針は「生コン強度とブロックの強度を引き上げたCB造を採用することにより、浮いたRC造との差額分を内外装、設備のランクアップ費用として使うことにし、ローコストでリッチな100年住宅を目指す」のであった。

【閑話休題】
今回の記事の目的は、住宅建築でお悩みの読者に何らかの形で役立つ情報を提供することであるとしたが、実は隠された別の目論見もある。それは将来、何らかの事情で住宅(兼研究室)を売却する必要が生じた場合、住宅の特徴を適切に記録しておけば、有利な条件で売却することが可能になるであろうとの邪な考えである。(笑)

  • LINEで送る

同じカテゴリー(生活)の記事
JAL Sky wifiへの誘い
JAL Sky wifiへの誘い(2014-11-25 22:03)


Posted by magona Laboratory at 22:18 │生活