永きにわたりPHSを愛用してきたマゴナ研究室であるが、とうとうiPhone6への機種変更を決定した。PHSとの付き合いは、沖縄電力資本のアステル沖縄がPHSフォンを発売した1996年にさかのぼる。その後、アステル沖縄が2005年にウィルコム沖縄に事業譲渡され、2014年にソフトバンク系列のY!mobilに統合されるまで、通算18年のお付き合いになる。その間、au、docomo、Softbankなどの携帯会社との契約は一度もなく、PHSオンリーというかなり珍しいユーザーであった。
(左写真は最後のPHS使用機種、KYOCERAのWX01K)
世の中が急速にスマートフォンに移行する中、なぜPHSを使い続けてきたのか。最大の理由は電話番号が変わるのが嫌だったからだ。2006年から導入されたMNP(Mobile Number Portability)では、残念ながらPHSはMNPの対象外であった。さらにいえばPHSの維持コストが格安なことも理由の一つである。直近月のPHSへの支払額は2,600円程度にすぎない。しかもWillcomのデータ通信への対応は早かった。マゴナ研究室では2007年にWillcomのスマートフォン(Windows Mobile)、Advanced/W-ZERO3 [es]を導入し、2010年にはHYBRID W-ZERO3に移行した。しかし当時のWindows Mobileの完成度は2011年日本発売されたiPhone4Sの完成度に遠く及ばず、仕方なくHYBRID W-ZERO3をPHS電話に機種変更し、データ通信はE-Mobileのモバイル・ルーターと初期型iPad(wifi,64GB)を使うことで弱点を補ってきた。その結果、トータルでの通信料金はiPhoneのデータ定額料金と大差なくなり、しかもデータ通信のたびにルーターを起動するのはかなりのストレスとなっていた。
(写真は右からW-ZERO3 [es]、HYBRID W-ZERO3)
それが総務省のご好意により2014年10月1日からPHSから携帯電話へのMNPが可能となり、はからずもApple StoreでSIMフリー版iPhone6が9月19日に発売された。MNPとSIMフリーを活用すれば、電話番号問題を解決できるとともに、寡占状態の大手キャリアに対して割高な通信料金を払う必要がなくなるのではないか。そう思うと即座にApple Storeで128GBのiPhone6をクリックである。
通信会社の選択にあたっては、過去の通話料金の検証した結果、毎月1,000円内に収まることが判明した。こうなると3大携帯会社の通話定額制度はあまりにも高額である。様々な格安SIM(MVNO)を調査した結果、データ通信量、テザリングへの対応など総合的にサービス内容が優れているIIJmioの「みおふぉん」という音声通話機能付きSIMを採用することにした。MNPの手続きはY!mobileの店頭でMNPを申請し、30分程度でMNPの予約番号を入手した。IIJmioの手続きは全てホームページ上となるが、特段迷うことなくスムーズに完了できた。注意点はSIMカードが郵送で自宅に到着するまでの間、電話が不通となることである。マゴナ研究室の場合、HPでの「みおふぉん」の申し込みが10月25日、MNPの手続き完了に伴うPHSの使用停止が10月27日、SIMカードの到着が10月29日と二日間は電話が全く使えなかった。気になる「みおふぉん」の通信状況はdocomoの回線を利用していることからスピードやLTEのカバー範囲では何の問題も生じていない。沖縄県内では左写真のように、LTEのダウンロードで12〜28Mbps、アップロードで19〜44Mbpsと十分なスピードが確保できている。3G接続の場合でも、ダウンロードで8〜9Mbps、アップロードが2〜4Mbpsと大きな問題が生じないスピードだ。
音声通話機能付きSIMの通信料金は、4GBのデータ通信量(ライトスタートプラン)契約で月額2,397円(税込)となる。音声通話には別途30秒20円の通話料が発生するが、過去の実績から月額1,000円(税込)を見込めば十分である。SMS送信は1通3円だが、音声通話と合わせても1,000円(税込)を超える可能性はほとんどない。さらに音声通話は「楽天電話」を併用することで、3分以内の通話は無料にすることが可能であり、格安SIMの運用コストは月額3,397円(税込)の範囲内には十分収まると想定できる。申込みには3,240円(税込)の初期費用が必要であり、iPhone6(128GB)の購入代金が107,784円(税込)であることから、2年間の支払総額は192,552円(2,397×24+1,000×24+3,240+107,784=192,552)以下に収まると想定できる。
一方、auの維持コストは、通話定額が月額2,700円、データ定額が3GBプラン(13カ月間はプラス1GB)で月額4,200円(5GBだと月額5,000円)、インターネット接続サービスが月額300円。マゴナ研究室では今回auひかり(固定通信サービス、沖縄だと「光ちゅら」)を契約することから、auスマートバリューで934円の割引がある。結果、運用コストは月額6,266円(税込6,767円)となる。しかしauの場合、2年縛り契約の特典としてiPhone6(128GB)の購入代金を月額3,015円軽減する仕組みがあり、iPhone6の実質購入代金は23,760円(月額990円×24回)となる。結果、2年間の支払総額は税込186,168円(6,767×24+23,760=186,168)となる。
こうなるとAuとSIMフリーの2年間の支払総額は6,384円ほどSIMフリーがコスト高に見えるが、auの通信料が11カ月間は3GBにとどまること、一方IIJmioが4GBであることを考慮すると、むしろIIJmioの方が割安であると判断できる。さらにauひかり(固定通信サービス)の契約がない場合には934×24=22,416円の追加的支払いが生じることから、明らかにIIJmioが割安となる。さらに格安SIMは大手携帯会社の2年契約に縛られないという点でも精神衛生的アドバンテージを十分に感じることができる。総合的に判断して、今回のPHSからiPhone6へのMNP移行は大正解であったとの評価である。
【閑話休題】
PHSからの格安SIMへのMNP にあたっては、携帯電話会社の協力が得られないことから、PHS電話の電話帳をどのようにしてiPhoneへ移行するかが一番のハードルになる。WillcomのPHS電話の場合、電話帳データをCSV等の汎用的なデータ・フォーマットで書きだすことができない。専用の電話データ移行ソフトを購入するという手もあるが、コスト的にはいかがなものかという印象だ。たまたま、マゴナ研究室には赤外線通信機能を備えたAndroid版スマホdigno dual wx04kがあったことから、PHS電話の電話帳を赤外線通信でdigno dual wx04kに移行し、そのデータをグーグルの連絡先と同期させ、さらにグーグルから連絡先データをMacへエクスポートとし、そのデータをiCloudの連絡先にインポートするという方法で解決した。ネット上で検索する限り、いろいろな方が電話帳の移行に苦労しているようであり、PHS電話からiPhone6への移行にあたっては、事前に電話帳の移行方法について研究しておくことが必要だと思われる。