2007年06月10日
FLORA210WのOSバージョンダウン
今回は、昨年9月に購入した極薄ノートPC、FLORA210WのOSバージョンダウンである。当のFLORAには、Windows XPがプレインストールされているが、CPUが省電力型のCrusoe TM5800 1GHz、メモリ256MBと非力なこともあり、その動作は緩慢だ。ちなみに、Windows XPの起動およびシャットアウト等にかかる時間は次の通りである。
1.起動 122秒
2.シャットアウト 30秒
3.休止モードへの移行 29秒
4.休止モードからの復帰 31秒
(注)上記の値は、5回の手動計測の平均値
ネットでの情報収集によると、トランスメタのCPU、CrusoeはWindows2000向けに最適化されており、OSのバージョンダウンで快適な動きを取り戻せるらしい。そこで、早速のチャレンジとなるが、これがなかなかの難関である。FLORA210WはFDDやCDドライブを内蔵していない。純正のFDD、CDドライブはUSB接続だが、肝心のWindows2000用のドライバが存在しない。普通ならインストールCDから簡単に導入できるWindows2000が、ドライブの認識不良により失敗する。また、Windows XPからWindows2000のインストールCDを起動しても、古いパージョンには戻れないとの警告が発せられる。(写真は純正のUSB-CD DRIVE(左)とUSB-FDD(右))
この状況を解決する極めてテクニカルな方法が、ネット上に幾つか紹介されているが、そのどれもが結構面倒くさい。マゴナ研究室がこれから紹介するインストール方法も、白砂のホームページ(Hakusa.net)を参考にしつつ編み出したものであるが、やはりかなり面倒である。その意味で、以下に示す手順はあくまで当研究室の備忘録としての位置づけであり、一般にはほとんど役に立たないことをあらかじめ伝えておきたい。(笑)
[FLORA210WにおけるOSバージョンダウンの具体的手順]
1.バックアップ
仮にインストールが失敗しても後で泣かないように、HDDの内容をすべてUSB-HDDにバックアップする。当研究室では、バックアップソフトにソースネクストのAcronis True Image Personal 2、USB-HDDはロジテックのLHD-PBD40U2BKを使用している。(写真はバックアップソフトとUSB-HDD)
2.パーティションの分割
USB-FDDよりPartition Commander(System selector2)を起動し、HDD内にFAT32の新たなパーティションを作成する。具体的には、Windows XPのインストールされているNTFSパーティションサイズを10GB程度に変更し、空いたディスクスペースをFAT32としてフォーマットする。(写真はパーティション・コマンダーの起動画面)
3.Windows2000インストールCDのコピー
新しくできたFAT32のパーティションにWindows2000のインストールCDを丸ごとコピーする。とりあえず、インストールディレクトリはd:\WIN2000CDとする。
4.USB-FDDからのWindows98の起動とWindows2000のインストール
USB-FDDからWindows98のインストールディスクを起動する。コマンドプロンプトの状態から、次のコマンドを実行する。
c:\> cd d:\WIN2000CD\I386 Enter
c:\win2000CD\I386\ > WINNT.EXE Enter
これにより、Windows2000のインストールがスタートする。途中、「コンピューターにSmart Driveが検出されませんでした。Enterで続行」と警告メッセージが表示されるが、迷わずEnterで切り抜ける。ちなみに、インストール先はFAT32のdドライブである。
5.Windows XPパーティションの削除
仕上げに、再度、USB-FDDよりPartition Commander(System selector2)を起動し、Windows XPのインストールされているNTFSパーティションを削除する。同時に、Windows20000のインストールされているパーティションのサイズをMAXまで広げれば、すべての作業は完了である。
これらの作業の完了にはほぼ半日を要する。得られたFLOR210Wの快適性を客観的に比較するために、起動およびシャットアウト時間等をWindows XPの場合と同様に計測してみたのが次の結果だ。
1.起動 138秒 (Windows XP比 +16秒)
2.シャットアウト 24秒 (Windows XP比 △6秒)
3.休止モードへの移行 16秒 (Windows XP比 △13秒)
4.休止モードからの復帰 32秒 (Windows XP比 +1秒)
(注)上記の値は、5回の手動計測値の平均
計測値からは、起動時間は13%悪化したものの、その他の動作時間は概ね改善している。全体としては、大きな変化はないと見て良いだろう。ところが、アプリケーションの反応速度は劇的に改善している。残念ながら、Windows XPでのWordや Excelの起動・終了時間のデータを計測していなかったので、客観的な比較は困難だが、バージョンダウン後はWordやExcelが瞬時に起動・終了し、劇的な改善効果が認められる。旧型PCにおけるOSバージョンダウンの有効性を、再確認できたのが今回の実験成果といえる。(写真はWindows2000がインストールされたFLORA210W )
【閑話休題】
今回のバージョンダウンでは、作業前にHDDのバックアップを実行した。これまでの不幸な経験から、マゴナ研究室では、すべてのデータをサーバーで管理し、そのデータも毎週自動バックアップを実行している。このエマージェンシー態勢はシステムドライブについても同様である。HDDは4、5年に一回はクラッシュする。そんな時、システムドライブのバックアップがないと、システムやアプリケーションの再インストールに、貴重な時間を浪費してしまう。現在、マゴナ研究室では6台のPCが稼働しているが、うちUSBを備える5台について、システムドライブのバックアップを実行している。幸いにも、大容量のUSB-HDDが一万円で購入できる時代だ。余命が短くなり時間価値が等比級数的に高まっている中高年諸志には、システムドライブのバックアップを勧めしつつ、今回の記事を締めくくりたい。