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2006年10月31日

女子プロゴルフ界の秘密(番外編)

女子プロゴルフ界の秘密(番外編)前回の記事では、女子プロゴルファーの年齢やゴルフの開始年齢、体形がスコアに与える影響を分析したが、今回は、血液型とゴルフの関係について考察したい。

前回分析対象とした2005年のLPGAのベストテン・ランキング表を眺めると、A型は1位の不動裕理と7位の米山みどりの二人である。B型は、2位の宮里藍、3位の大山志保にはじまり計6名とかなり多い。残りは、4位の横峰さくら、10位の辛炫周が共にAB型で、O型は一人もいない。このデータ見た瞬間、「ゴルフにはB型の血液型に向いている」という仮説がにわかに浮上してきた。

B型の特徴は「世間や周囲を意識することが少なく、行動はマイペース型。考え方は科学的で常識や慣習に引きずられない。」などといわれている。つまり、一つの失敗を引きずることなく、気分転換も早く、常に前向きという特性は、まさにプロゴルファー向きであり、仮説はいかにももっともらしい雰囲気を漂わせている。

仮説といえば分析、分析といえぱ統計である。分析の第一段階として、前回同様、LPGAのホームページの会員紹介(Member introduction)を基に、2005年の賞金ランキング100位以内の選手の血液型を確認してみる。データを確認できる93名の血液型は、A型が32名(構成比34.4%)、B型が24名(同25.8%)、O型が27名(同29.0%)、AB型が10名(同10.8%)であった。

日本人の血液型構成比は、A型が38.1%、B型が21.8%、O型が30.7%、AB型が 9.4%となっている。女子プロの血液型構成比を日本人のそれと比較すると、A型で△3.7%、B型で+4.0%、O型で△1.7%、AB型で+1.4%の差異がある。このデータからも、B型の比率は高くA型の比率が低いことが見て取れる。(分析対象93名のデータは前回記事を参照)

問題は、本当に女子プロの血液型は、B型の比率が高くA型が低いのか、それとも、この差異は偶然に生じたものなのか、いずれなのかを判断しなければならない点だ。こうした判定にはカイ二乗検定がうってつけである。しかも検定は電卓で完結することから、この機会に計算方法をマスターしておけば、貴方のウンチクに説得力を与えられること間違いなしである。ただし、使い方を誤れば、単なる変わり者として扱われる可能性も否定できないことをあらかじめ注意しておきたい。(笑)

カイ二乗値算出の公式は次の通りである。
カイ二乗値=Σ((Fi-Ei)^2)/Ei
※Fiは観測度数、Eiは観測度数の期待値。

実際に、公式に女子プロのデータを当てはめカイ二乗値を算出してみよう。公式中のFiは、血液型(i)ごとの人数であり、iはA型、O型、B型、AB型の4種類である。Eiは日本人の血液型分布を前提にした場合の期待値を表す。女子プロのデータは93名であり、それぞれの血液型の期待値は、A型が93×38.1%=35.4、B型が93×21.8%=20.3、O型が93×30.7%=28.6、AB型が93×9.4%=8.7となる。

続いて、4種類の血液型毎に(Fi-Ei)^2)/Eiを計算すると、A型が((32-35.4)^2)÷35.4=0.33、B型が((24-20.3)^2)÷20.3=0.67、O型が((27-28.6)^2)÷28.6=0.09、AB型が((10-8.7)^2)÷8.7=0.19と求められる。Σは総和を表していることから、先の血液型毎の計算値を合計し、カイ二乗値として1.28(=0.33+0.67+0.09+0.19)が算出された。

女子プロゴルフ界の秘密(番外編)最後に、求められたカイ二乗値を基に女子プロの血液型分布が、日本人のそれと明らかに異なっているか、つまり、統計的に「有意」かどうかを検定(判定)する。

今回の分析でいえば、カイ二乗値は左図の「自由度3」(血液型の種類数-1)の確率分布に従うとされている。図では、縦軸の確率密度は危険率とも呼ばれ、偶然に検定対象とした血液型分布が発生する確率を示している。

図のイメージを具体的な値として確認するために、自由度3のカイ二乗値を危険率で整理したのが次表である。

危険率   99%  95%  90%  50%  25%  10%   5%  2%  1%   0.1%
カイ二乗値 0.12 0.35 0.58 2.37 4.11 6.25 7.82 9.84 11.34 16.27

いよいよ結論だ。上の表から分かるように、カイ二乗値1.28は危険率50%と90%の間にある。つまり、偶然に「B型の比率が高く、A型が低い」という女子プロの血液型分布が出現する確率は、50%以上ということになる。統計分析では、仮説が正しいと判断する基準として5%または1%の危険率を採用するのが一般的であり、仮説は完全に否定された。

ここまで、延々とつまらない理屈を聞かされて、「ゴルフの向き不向きと血液型にはなんの関係もない」という結論に対して、「いい加減にしろ」の大合唱が聞こえるようだ。しかし、ものは考えようである。血液型がスコアと関係ないのであれば、全人類平等にスコア・アップのチャンスがあるといえる。血液型のことなんか忘れて、練習に励むことが大切なのだ。

しかし、血液型を悪いスコアの言い訳として使えないのは、個人的にはかなり残念なことでもある。(笑)


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Posted by magona Laboratory at 00:00 │スポーツ