大坂出張と携帯動画の傾く映像 (その1)

magona Laboratory

2008年03月10日 00:00

 いつもは東京出張であるが、今回の目的地は珍しく大坂である。朝一番に沖縄を発ち、大阪には11時過ぎに到着する。用事は午後1時で昼食にかなりの時間を取れる。こういう時こそ、こだわりが必要だ。向かった先は、織田作之助の小説「夫婦善哉」でも有名な、難波、千日通りの「自由軒」(左写真)である。

「夫婦善哉」には次の描写がある。『この二三日飯も咽喉へ通らなかったこととて急に空腹を感じ、楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた。「自由軒のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」とかつて柳吉が言った言葉を想い出しながら、カレーのあとのコーヒーを飲んでいると、いきなり甘い気持が胸に湧いた。』

自由軒に到着したのは11時半過ぎ。店内はそこそこ賑わっている。あと30分もすれば、満席になるところだ。当然、注文は具の見えないカレーに生玉子が乗った「名物カレー」(左写真)である。さらに注目すべきは、4人の美人ウェイトレスだ。なかでも「千と千尋の神隠し」に登場する「湯婆婆(ゆばあば)」のような髪型のお姉様(?)が印象に残る。美人ウェイトレスについては、これ以上のコメントは避けるが、百聞は一見にしかずというか、是非とも直接確認していただきたいところである。

注文を受けたお姉様からは、厨房に向かって「インディアン、ツー」のコールがかかる。後で分かったことだが、名物カレーは正しくは「インディアン・カレー」と言うらしい。味の好みは人それぞれであるが、個人的にはウスターソースとカレールー、生玉子がほどよく混ざったシンプルな味わいは、なかなかいけるとの評価である。

さて、出張の目的である食後の用事もあっという間に終わり、2時30分には新幹線で東京へ向かう。しばらくは読書の時間となるが、途中、車窓から富士山が見えてくると、不思議に映像記録を残したくなる。手持ちのWILLCOMのPHS、通称アドエス(Advanced/W-ZERO3[es])で、富士山を動画撮影してみたのが、次の添付ファイルだ。

動画ファイル→https://www.youtube.com/watch?v=HVoYVwBG42o

ところが、再生映像を見てビックリである。被写体が奇妙に右方向に傾いているのだ。この現象をグーグルで検索したところ、携帯デジカメの撮像素子に使われるCMOSの特性が原因であることが判明した。説明はホームページ『デジカメの「しくみ」』に詳しいが、その内容を要約すると次の通りである。

==== 要約開始 =====

CMOSはCCDに比べて、高速に動くモノを撮影したときに歪んでしまう。CCDは各画素に光を照射しているタイミングと照射が終わって映像信号の転送を開始するタイミングが、すべての画素について同時である。ところが、CMOSはこのタイミングが同時ではない。CMOSでは1つの画素が蓄積した電荷は、その場で増幅して信号として読み出すが、この動作は全ての画素で同時に行えない。左図で説明すると、下の画素が信号を転送し終わるのを待って、その後に上の画素が転送を始めなければならない。このため、上下の画素では信号の転送タイミングだけでなく、光の照射を受けるタイミングもズレてしまう。このような条件で撮影すると、被写体が高速に動いていた場合には、歪んだ画像が記録される。

====要約終了 ====
 
上の説明をアドエスでの撮影に当てはめると、カメラが移動している中、CMOSの下から上の画素に向かって順次画像が記録された結果、映像が傾いてしまったことが分かる。ところが、再生映像を子細に観察すると、さらに面白いことに気づく。車窓から遠くに見える被写体ほど垂直方向からの傾きが小さく、近くにあるほど傾きは大きいのだ。分かりやすくするために、特徴的なシーンを静止画像として切り出したのが左の写真である。

なぜこの現象が生じたのか。高校時代の三角関数を思い起こしながら、瞑想に耽ったところ「これは」という結論にたどり着いた。完全な証明には、あとしばらくの時間が必要だが、すでにイメージは固まっている。ということで、証明は次の機会に譲ることにする。あいかわらずの問題先送りとも受け取られかねない対応だが、そこはまあ、ご容赦いただきたいところである。(笑)


関連記事