壊れたビデオカメラ NV-C7
Panasonic のビデオカメラNV-C7に突然の不具合発生だ。最悪なことに、年に一度の罪滅ぼしの場である家族旅行での出来事である。症状は、録画ボタンを押しても簡単には録画モードに移行しない。かと思えば、やっとのことでスタートした録画モードを終了できない。仕方なく強制的に電源をOFFする始末だ。こんな状態では、マゴナ研究室が誇るビデオ撮影の極意を発揮することができない。しかも、今年は三泊四日の旅行に備えて、バッテリー2個を8千円で新調したばかりである。写真左は通販で購入した中国製の互換バッテリー、右下は純正品。
NV-C7(写真左)は購入から6年7カ月を経過しており、購入先のベスト電器の5年保証も期限切れである。マゴナ研究室の経験則では、ビデオカメラやVTRなど回転系を持つ電子製品の寿命は、日本メーカーの高度な品質管理により5年程度にコントロールされている。したがって、6年7カ月目での不具合発生は優秀であり、本来ならあきらめるべきだ。しかし、怒り心頭に発した家族は、日本メーカーの高度な品質管理に全く思いが至らない。肝心な時に壊れたポンコツマシンに対し、製造物責任を問う発言が飛び出す始末だ。しまいには、撮影者の危機管理能力まで問われ、とんだとばっちりである。
故障のタイミングはさすがにまずかったが、一つだけ良いことがある。それはビデオカメラを買い換える完ぺきな理由ができたことだ。最近ではハイビジョン・ビデオカメラの普及が進みつつあるが、NV-C7が現役である以上、なかなか買い換えを財務大臣に発議することができなかった。しかし、今回は完ぺきな理由が存在する。まさに「災い転じて福となす」である。早速、本格的にハイビジョン・ビデオカメラの購入を検討してみた。
ハイビジョン・ビデオカメラは、ビデオコーデック、いわゆる映像の記録方式により、DVDと同一コーデックのMPEG2を用いるHD-DV方式と、高圧縮コーデックのMPEG4を用いるAVCHD(H264)方式の2種類に分類できる。昨年はHV-DVを採用しているメーカーが多かったが、今ではほとんどのメーカーがAVCHDを採用し、デファクトスタンダードとして定着した感がある。両方式は画質にほとんど差がないことから、記録領域がHD-DVの4分の1であるAVCHDの省エネ性が評価とされた形だ。
しかし、AVCHDにも弱点はある。市販の映像編集ソフトでAVCHDに対応しているのは、現時点でユーリード VideoStudio11のみである。しかも、ソフトを軽快に動かすにはPentiumDレベルの最新CPUが必要となる。試しに、友人のVideoStudio11をマゴナ研究室のメーンマシンLaVie C LC900/7D Pentium4 3.06GHzにインストールしてみたが、反応が緩慢で全く使い物にならない。最近入手したPanasonicビデオ総合カタログ(左表)でも、ハイビジョン・ビデオカメラ付属の編集ソフト(HD Writer 2.0J for SX/SD/DX)の動作にはPentiumD 3.0GHz以上が推奨されている。
2006年4月15日の記事で紹介したように、マゴナ研究室では家庭におけるドライブ、旅行、学校行事などのイベント映像をファイルサーバー(LANDISK 、HDL-160U)に保存している。7年間にわたる撮影記録はMPEG2ファイル120本、85GBに達する。仮にハイビジョン・ビデオカメラを購入すると、メーンPCの買い換えは避けられない。加えて、ファイルサーバーの残容量は40GBを切っており、スタンダードサイズの4倍の容量が必要となるハイビジョン映像の保存には、ファイルサーバー設備およびバックアップ装置の更新も必要となる。ざっと見積もっても追加投資は30万円を下らない。
これは財務大臣と折衝するまでもなく、とうてい容認できる投資額ではない。仕方なく今回は修理対応である。修理料金は11,500円、故障個所は録画スイッチの小さなパーツ(左写真)であった。仮にまた故障が発生しても、財政的理由から再び修理対応とならざるを得ない。ところが幸いにも、松下電気はデジタルビデオカメラの補修用性能部品の保有期間を生産完了後8年と定めている。2010年頃には補修部品の在庫が無くなり修理自体が困難となるのは確実だ。
言い換えれば、その時がハイビジョン・ビデオカメラ導入のラスト・チャンスである。しかし、恒常的にキャッシュフローが不足しているマゴナ研究室では、投資がいちどきに集中するのは避けなければならない。合理的選択肢は、来るべきラスト・チャンスに備え、時間分散の手法によりサーバーやメーンPCなどの周辺機器への投資を密かに実行することである。それがハイビジョン・ビデオカメラ購入時の金銭的負担を和らげ、かつ財務大臣に対する目眩ましとして極めて有効な対応といえるのであった。(笑)
関連記事