ビリーズブートキャンプの効果や如何に

magona Laboratory

2007年07月14日 00:00

巷では、エクササイズ界のカリスマ、ビリーブランクス氏、51歳による「ビリーズブートキャンプ」が大流行である。テレビショッピングを見る限り、7日間集中ダイエットはいかにも効果テキメンで、「我がメタボリック系ウェストにも効果があるのではないか」と十分にその気にさせてくれる。思い悩んだ末に家族会議でDVD購入の是非を議論していた矢先に朗報だ。エクササイズによる激しい筋肉痛が原因で、ブートキャンプを離脱した友人I君から、「当面お蔵入り」となったDVDを借用する幸運に恵まれたのである。(写真はショップジャパンのページから借用)

ビリーズブートキャンプについては、多くのブログや掲示板で、さまざまな感想が寄せられている。「継続できれば、それなりの効果がある」というのが大方の意見であるが、体験談のほとんどは体重や体脂肪率の変化を断片的に示すのみで、時系列的にデータを開示しているものは皆無であった。そこで、マゴナ研究室では、ビリーズブートキャンプの効果を客観的に測定するために、40台半ばの中年男児には過酷とも思われる3週間集中ダイエットに取り組み、その効果を検証することにした。

まず、分析にあたっては肉体の変化を客観的に把握することが必要である。ウェスト周りをメジャーで測るという原始的な方法も考えたが、ウェストは腹筋への力の入れ具合でいかようにも計測でき、客観性に乏しい。結局、多くの体験者と同様に機械的に測定できる体重と体脂肪率に焦点を絞ることにした。使用する計測機器はTANITA製の肪脂計付ヘルスメーター、BF-616である。このタイプの体脂肪測定機器は、足裏だけで体脂肪を測定する仕組みのため、測定のたびに数値が振れるという欠点があるが、データサンプルが多ければ大数(たいすう)の法則により誤差は打ち消されるという勝手な仮定を置き、そこはあえて気にしないことにする。(笑)
(写真は使い込んだ肪脂計付ヘルスメーター、BF-616)

 実は、ブートキャンプへは6月14日に入隊したのだが、最初の4日間はエクササイズについていくのに必死で、体重、体脂肪率を測定していなかった。この壮大なプロジェクトを思い付き、測定を開始したのは6月18日からである。その後3週間の体重、体脂肪率の推移は左表の通りだ。

表の項目について説明すると、「キャンプメニュー」は、4巻で構成されるDVDのうち何巻目のエクササイズを実践したのかを示している。ちなみに、第1巻「基本プログラム」の時間は55分、エクササイズ途中に適度なウォームアップ・タイムも確保されており肉体への負荷はほどほどだ。しかし、第2巻「応用プログラム」は時間こそ55分で「基本プログラム」と変わらないが、休みなく展開されるエクササイズは、体調不良の場合には脳梗塞を引き起こしかねないほどにハードだ。第3巻「腹筋プログラム」、第4巻「最終プログラム」は約30分のエクササイズで、第1巻、2巻に比べると明らかに負荷が軽い。3週間集中ダイエットでは「応用プログラム」の実施回数が極端に少なく、「腹筋プログラム」の回数が多くなっているが、それは筆者の怠け者の気質とメタボ系ウェストへのコンプレックスが大きく影響している。また、ところどころに「休み」とあるが、6月末は株主総会にからむ人事異動の時期であり、「歓送迎会」が頻繁に開催された様子がよく分かる。

体重、体脂肪率は、「朝」と「エクササイズ後」に測定しているが、「朝」の測定値は、概ね起床30分後 (平日は7時、休日は9時頃) の朝食前に測定しており、測定条件は安定している。一方、「エクササイズ後」の測定時刻は、平日は帰宅後の8時から11時の間だが、休日は時間を特定できない。また、食前、食後も意識していないため、あくまで参考値としての位置づけである。体脂肪率は測定時間によってかなりブレることから、同条件での測定が正確な分析のためには必要なのである。以下に、BF-616の説明書から、関連する記述を抜粋した。

===== 肪脂計付ヘルスメーター、BF-616説明書 ======================

TANITAの体脂肪計測の原理は、体の電気抵抗を測ることで体脂肪率を測定するBIA法(Bioelectrical Impedance Analysis)にもとづいて、開発されています。体の中で脂肪はほとんど電気を通しませんが、筋肉中の水分は電気を通しやすい性質があります。この電気抵抗を測ることで、脂肪とそれ以外の組織の割合を推測することができます。BIA法による体脂肪率の測定では、生物インピーダンス(体の電気抵抗値)の変動が判定の構成要素になっています。測定した日の体調(発熱や暴飲暴食、多量の発汗など)や、一日内(通常の生体インピーダンスは就寝中は上昇し、活動中は低下します)の変化でも、値は変わります。できるだけ同じ時間帯、同じ状態で測ってください。(写真は説明書からの転載)

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残念ながら、説明書に示される測定最適時間である午後6時から9時の間の測定は難しいことから、3週間集中ダイエットの効果は、「朝」の測定値をもって評価する。左の折れ線グラフは、ブートキャンプ実践後3週間の体重および体脂肪率の推移である。

体重、体脂肪率は日々変動しているが、概ね減少傾向を示している。この傾向を明らかにするために、EXCELの分析ツール機能を用いて単回帰直線を引いてみたのが、次の計算式である。

体重=-0.037kg×エクササイズの実施日数+65.463Kg
体脂肪率=-0.094%×エクササイズの実施日数+26.279%

計算式によると、ビリーズブートキャンプの実践により、1カ月で体重は約1Kg(-0.037kg×30日=-1.11 kg/月)減少し、体脂肪率は約3%(-0.094%×30日=-2.82%/月)減少する。この分析結果はいかにももっともらしい。今回の実証実験ではエクササイズ以外の生活条件は変えていない。エクササイズ後のビール、ポテトチップスも当たり前だ。つまり、体重、体脂肪率の減少は完全にビリーズブートキャンプの効果だと思って良い。ということで、今回のマゴナ研究室による捨て身の分析により、いい加減な入隊者でも3週間集中ダイエットを実践すれば、それなりの効果があがることが明らかになったのであった。(笑)

【閑話休題】
テレビショッピングで紹介される商品はマガイ物が多いというのが一般な印象である。しかし、ビリーズブートキャンプは商品内容があまりにも単純であり、物理的品質については議論する必要がない。ソフトそのものはかなり良くできているが、それにしても、この単純なDVDが大流行する背景には、テレビ技術の進歩も大きく影響していると思われる。つまり、薄型大画面テレビの登場である。薄型テレビの設置により、エクササイズに必要な空間を確保できるとともに、大画面映像は普通なら一人で寂しいエクササイズを美女軍団に囲まれた臨場感あふれる楽しい空間に変化させる。一つだけ欲を言えば、音響がサラウンドであったなら、エクササイズの楽しさは倍増するであろう。


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