2014年11月25日
JAL Sky wifiへの誘い
----- メールから一部抜粋 ----
「JAL SKY Wi-Fiパス」利用開始について
このたび、国内線機内インターネットサービス「JAL SKY Wi-Fi」がご利用できる「JAL SKY Wi-Fi パス」を ⚫⚫様にご用意いたしました。 「JAL SKY Wi-Fi」は「ひとつ先のスタンダード」をテーマにした、国内線でのより快適な過ごし方を提案する日本の空の旅を変える新しいサービスです。 快適な機内エンターテイメント、機内インターネットサービスをご用意しております。ご利用をお待ちしております。
お客さまのアカウント情報
メールアドレス: ⚫⚫⚫⚫
パス内容
<25枚> JAL SKY Wi-Fi パス(60分)
----- 抜粋終了 ----
つまりは、日本航空様のご好意によりJAL SKY Wi-Fiのタダ券25時間分をGETである。早速、東京出張の機内でJAL SKY Wi-Fiサービスを試してみた。ところが、いきなりのトラブル発生だ。接続画面でメールアドレスとパスワードを聞かれるが(左写真)、肝心のパスワードに全く心当たりがない。仕方なくJALマイレージクラブのパスワードを入力するが、それも拒絶される。結局のところ、その日はJAL SKY Wi-Fiサービスは使えずじまいであった。JAL様のご好意によりメールアドレスを登録していただいたのはありがたいが、肝心のパスワードをユーザーに知らせていただけなかったのは、いかにも「ブッ、ブー」という評価である。
後日、ネットを検索してみると、搭乗後に機内からチャット機能で質問を受けるサービスのあることが判明した。1カ月後、再度JAL SKY Wi-Fiにチャレンジする機会ができたので、早速、チャット機能を使っての相談である。前掲のログイン場面の中央右にある「よくある質問/ライブヘルプ」をクリックすると、「チャットでのお問い合わせ」というアイコンが現れる。(左写真)
その後のライブチャット画面で、「姓」「名」「メールアドレス」「質問」を入力し、しばらく待つと陸上のオペレーターとチャットが開始する。数千メートルの上空から、ほぼリアルタイムにチャットをするという感覚は極めて新鮮な感じだ。オペレーターの対応は極めて親切で、ほぼ2、3分で仮パスワードを発行してもらった。オペレーターからはチャット接続を維持するので、試しにJAL SKY Wi-Fiに接続できるか確認してくれという。試すと簡単に接続完了である。チャットによるヘルプサービスは初めての体験であり、いろいろなビジネスシーンで利用可能であると感じた次第である。最後にマイページから、仮パスワードを変更して全ての作業は完了となる。
ちなみに、JAL SKY Wi-Fiのスピードはどの程度なのかも検証してみた。Usenのスピードテストの結果では、おおよそ1Mbps程度となった(左写真)。YouTubeの再生も試してみたが、さすがに画像の一時停止が頻繁に発生し実用的ではない。通常のホームページの閲覧でも若干のストレスを感じないこともないが、今までに比べればメールの送受信も可能となり、利便性は格段に向上する。マゴナ研究室としては、このサービスは結構使えるとの評価である。現時点では全ての便でサービス提供できていないようだが、徐々に拡大するとのことであり今後が楽しみだ。
【閑話休題】
この記事はJAL SKY Wi-Fiを使い太平洋上空からアップしている。それも二度目のチャレンジでの成功だ。最初のチャレンジではブログの管理画面操作中に着陸態勢に入り、記事のアップロードを果たせなかった。どうやら衛星通信を利用している JAL SKY Wi-Fi は飛行高度が落ちると、ネット接続が遮断されるようである。幸いにも今回の出張は日帰りであったことから、その日のうちにJAL SKY Wi-Fiに再チャレンジすることができた。二度目は十分な飛行高度を確保した上で、マゴナ研究室初の太平洋上からの記事アップ完了となった。個人的には拍手喝采ということで、今回の記事を締めくくりたい。。。(笑)
2014年11月08日
WillcomからのiPhone6へのMNP。SIMフリーの評価は如何に。
(左写真は最後のPHS使用機種、KYOCERAのWX01K)
世の中が急速にスマートフォンに移行する中、なぜPHSを使い続けてきたのか。最大の理由は電話番号が変わるのが嫌だったからだ。2006年から導入されたMNP(Mobile Number Portability)では、残念ながらPHSはMNPの対象外であった。さらにいえばPHSの維持コストが格安なことも理由の一つである。直近月のPHSへの支払額は2,600円程度にすぎない。しかもWillcomのデータ通信への対応は早かった。マゴナ研究室では2007年にWillcomのスマートフォン(Windows Mobile)、Advanced/W-ZERO3 [es]を導入し、2010年にはHYBRID W-ZERO3に移行した。しかし当時のWindows Mobileの完成度は2011年日本発売されたiPhone4Sの完成度に遠く及ばず、仕方なくHYBRID W-ZERO3をPHS電話に機種変更し、データ通信はE-Mobileのモバイル・ルーターと初期型iPad(wifi,64GB)を使うことで弱点を補ってきた。その結果、トータルでの通信料金はiPhoneのデータ定額料金と大差なくなり、しかもデータ通信のたびにルーターを起動するのはかなりのストレスとなっていた。
(写真は右からW-ZERO3 [es]、HYBRID W-ZERO3)
それが総務省のご好意により2014年10月1日からPHSから携帯電話へのMNPが可能となり、はからずもApple StoreでSIMフリー版iPhone6が9月19日に発売された。MNPとSIMフリーを活用すれば、電話番号問題を解決できるとともに、寡占状態の大手キャリアに対して割高な通信料金を払う必要がなくなるのではないか。そう思うと即座にApple Storeで128GBのiPhone6をクリックである。
通信会社の選択にあたっては、過去の通話料金の検証した結果、毎月1,000円内に収まることが判明した。こうなると3大携帯会社の通話定額制度はあまりにも高額である。様々な格安SIM(MVNO)を調査した結果、データ通信量、テザリングへの対応など総合的にサービス内容が優れているIIJmioの「みおふぉん」という音声通話機能付きSIMを採用することにした。MNPの手続きはY!mobileの店頭でMNPを申請し、30分程度でMNPの予約番号を入手した。IIJmioの手続きは全てホームページ上となるが、特段迷うことなくスムーズに完了できた。注意点はSIMカードが郵送で自宅に到着するまでの間、電話が不通となることである。マゴナ研究室の場合、HPでの「みおふぉん」の申し込みが10月25日、MNPの手続き完了に伴うPHSの使用停止が10月27日、SIMカードの到着が10月29日と二日間は電話が全く使えなかった。気になる「みおふぉん」の通信状況はdocomoの回線を利用していることからスピードやLTEのカバー範囲では何の問題も生じていない。沖縄県内では左写真のように、LTEのダウンロードで12〜28Mbps、アップロードで19〜44Mbpsと十分なスピードが確保できている。3G接続の場合でも、ダウンロードで8〜9Mbps、アップロードが2〜4Mbpsと大きな問題が生じないスピードだ。
音声通話機能付きSIMの通信料金は、4GBのデータ通信量(ライトスタートプラン)契約で月額2,397円(税込)となる。音声通話には別途30秒20円の通話料が発生するが、過去の実績から月額1,000円(税込)を見込めば十分である。SMS送信は1通3円だが、音声通話と合わせても1,000円(税込)を超える可能性はほとんどない。さらに音声通話は「楽天電話」を併用することで、3分以内の通話は無料にすることが可能であり、格安SIMの運用コストは月額3,397円(税込)の範囲内には十分収まると想定できる。申込みには3,240円(税込)の初期費用が必要であり、iPhone6(128GB)の購入代金が107,784円(税込)であることから、2年間の支払総額は192,552円(2,397×24+1,000×24+3,240+107,784=192,552)以下に収まると想定できる。
一方、auの維持コストは、通話定額が月額2,700円、データ定額が3GBプラン(13カ月間はプラス1GB)で月額4,200円(5GBだと月額5,000円)、インターネット接続サービスが月額300円。マゴナ研究室では今回auひかり(固定通信サービス、沖縄だと「光ちゅら」)を契約することから、auスマートバリューで934円の割引がある。結果、運用コストは月額6,266円(税込6,767円)となる。しかしauの場合、2年縛り契約の特典としてiPhone6(128GB)の購入代金を月額3,015円軽減する仕組みがあり、iPhone6の実質購入代金は23,760円(月額990円×24回)となる。結果、2年間の支払総額は税込186,168円(6,767×24+23,760=186,168)となる。
こうなるとAuとSIMフリーの2年間の支払総額は6,384円ほどSIMフリーがコスト高に見えるが、auの通信料が11カ月間は3GBにとどまること、一方IIJmioが4GBであることを考慮すると、むしろIIJmioの方が割安であると判断できる。さらにauひかり(固定通信サービス)の契約がない場合には934×24=22,416円の追加的支払いが生じることから、明らかにIIJmioが割安となる。さらに格安SIMは大手携帯会社の2年契約に縛られないという点でも精神衛生的アドバンテージを十分に感じることができる。総合的に判断して、今回のPHSからiPhone6へのMNP移行は大正解であったとの評価である。
【閑話休題】
PHSからの格安SIMへのMNP にあたっては、携帯電話会社の協力が得られないことから、PHS電話の電話帳をどのようにしてiPhoneへ移行するかが一番のハードルになる。WillcomのPHS電話の場合、電話帳データをCSV等の汎用的なデータ・フォーマットで書きだすことができない。専用の電話データ移行ソフトを購入するという手もあるが、コスト的にはいかがなものかという印象だ。たまたま、マゴナ研究室には赤外線通信機能を備えたAndroid版スマホdigno dual wx04kがあったことから、PHS電話の電話帳を赤外線通信でdigno dual wx04kに移行し、そのデータをグーグルの連絡先と同期させ、さらにグーグルから連絡先データをMacへエクスポートとし、そのデータをiCloudの連絡先にインポートするという方法で解決した。ネット上で検索する限り、いろいろな方が電話帳の移行に苦労しているようであり、PHS電話からiPhone6への移行にあたっては、事前に電話帳の移行方法について研究しておくことが必要だと思われる。
2014年01月13日
家を創る② 間取り編
① 安らぐ家は「間取り」で決まる 著者:上田康允 出版社:成美堂出版 定価:1,200円
② 住まいの解剖図巻 著者:増田奏 出版社:エクスナレッジ 定価:1,800円
③ 住宅・インテリアの解剖図巻 著者:松下希和 出版社:エクスナレッジ 定価:1,800円
④ 家庭が崩壊しない間取り 著者:佐川旭 出版社:マガジンハウス 定価:1,500円
⑤ 主婦が考案した住みやすい家102の知恵 著者:竹岡美智子 出版社:講談社 定価:1,400円
投下コストは定価ベースで総額7,700円となる。うち何冊かは中古本を購入したので、実際はもう少し安い。しかし重要なのは金額の多寡ではない。筆者の周りを見回しても、住宅建築という千万円単位の投資にも関わらず、勉強不足のまま住宅建築に取り組むケースが多いのではないかと感じる。建築業者やマンションの営業担当者からの提案が納得できるものなら良いが、そうでないケースもある。さらに悪いのは本人に知識が無いばかりに提案時点では納得したつもりだが、後でそうではなかったと後悔するケースだ。特に間取り変更は大規模な改築を伴う場合が多く、住宅ローンが残っている間はほぼ不可能といっても差支えない。
マゴナ研究室建築の打ち合わせでは、当方の要望事項をハウスメーカー営業担当者に伝え、1週間に後に間取りプランの提示を受けるというプロセスを踏んだ。ところが、なかなかこちらのイメージが伝わらない。2度目の提案を受けた段階で、これでは永久に打ち合わせが終わらないことを確信した。別に営業担当者の能力が低いわけではない。担当者はニーズに忠実に応えようとしていた。しかし、できあがった図面は一応こちらのニーズを満たしているものの、そこかしこに無駄なスペースが発生し、いかにも美しくない。
考えてみれば当たり前である。特に、マゴナ研究室の敷地形状は旗竿地であり、玄関の位置が固定されることから間取りの自由度は極めて低い。その制約条件の中で筆者の要望を100%達成する配置はそもそも困難である。どこかで妥協が必要となる。しかし、営業担当者は筆者から出された要望事項をどの優先順位で処理すればよいかが分からない。しかも、それぞれの要望は独立的に存在するのではなく、相互に複雑に影響しあっている。他人任せで納得のいくプランができるかといえば土台無理な話である。
結局、自分で間取り図を作成することを営業担当者に伝え、「間取りっど3」という2次元間取り作成CADソフトを購入した。値段は5,000円前後と同種のソフトと比べてかなり安く、操作方法も2次元ソフトということもあり容易であった。4カ月弱をかけて理想の間取りを追求し、制作した間取りは16案にのぼる。左図がその時点での完成版である。
間取り図が完成した後のステップは、間取り図をベースに設計士が設計図を書き起こすことになる。「間取りっど3」では壁の厚さは外壁も屋内の仕切り壁も同一の厚さしか設定できないが、設計図では、屋外の壁の厚さは1階と2階で異なる。また屋内の壁の厚さも、構造が木造かコンクリートの構造壁かで異なる。したがって、実際に仕上がってくる間取り図は「間取りっど3」で作成したものとは完全に一致しない。細かなところでの調整が必要となる。
ここまでくると、より細かな設定が可能となる間取り&3D住宅デザインソフト「3DマイホームデザイナーLS3」(MEGASOFT社)を購入しなければおさまらない。設計図のデータをミリ単位で「マイホームデザイナー」に入力し、PC上で3次元化してみる。「マイホームデザイナー」では外観、内観ともにボタン一つで立体化でき、いろいろな角度から建物の完成イメージをチェックできる。さすがに、毎日完成図を眺めているといろいろなことに気がつく。(左図はマイホームデザイナーで作成した間取り)
動線からドアの開き方や収納の位置、視線から窓のサイズ・高さなどについて、幾つかの見直し箇所が発見できた。こうした地道な手順を踏んだことにより、マゴナ研究室は完成後およそ1年半を経過しているが、間取り上の不満はほとんどない。5冊の「間取り関連書籍」と「マイホームデザイナー」の2万円弱の投資で満足のゆく住宅ができると思えば安いと思うのだが、皆さんはどうだろうか。
【閑話休題】
今回の間取りで重視したのは、①1階に年寄りが住むことを想定し、居間・トイレ・浴室の動線を最短にすること、②強烈な西日からの熱を遮断すること、③将来の2階増築を想定すること、④近隣住宅と視線がぶつからないこと、などである。まあ結局のところ、住宅の間取りを評価できるのは施主だけであり、客観的な評価基準の存在しない自己満足の世界である。しかし、いくら自己満足といっても時間の経過とともにその評価が変わらないことが重要なのであろう。その意味では、1年半が経過しても満足感が継続している点は大きく評価できると、更に自己満足を重ねるのであった。
2013年07月07日
動画 積乱雲に光る雷
2013年6月29日の午後8時54分頃、東シナ海海上に浮かぶ積乱雲に雷が何度も光っていた。距離があるせいか音は全く聞こえない。少なくとも1時間以上は光ってたようだ。自然の不思議を感じずにはいられない。まずはご覧いただきたい。
2013年04月22日
家を創る① 構造編
今回の記事では7カ月にわたる建築期間を経て、やっとのことで竣工を迎えた「マゴナ研究室」の住宅(兼研究室)建築の足取りを備忘録の形で残し、住宅建築でお悩みの読者に何らかの形で役立つ情報を提供してみたい。 (左写真は竣工直後のマゴナ研究室)
ちなみに「こだわり」と言っても、機能面・デザイン面・価格面など、人には色々な「こだわり」がある。ところがデザインは感性の問題であり、いくらウンチクをたれても一般論としてはさして意味を持たない。したがって今後の記事では、より一般的な議論の展開を目的に機能面・価格面にポイントを絞ってみる。以下、第一話として「マゴナ研究室はいかに住宅構造にこだわったか」というテーマで話を進めよう。
地球温暖化に伴い気象変動が激しくなっている昨今、沖縄においても大型台風の頻発化が懸念されている。よってパナホームや大和ハウスに代表される軽量鉄骨住宅やタマホームやイシカワに代表される木造住宅は、暴風雨への耐性が鉄筋コンクリート造に劣る可能性が高いという理由から、当初より「マゴナ研究室」が採用する住宅構造は鉄筋コンクリート造にすべきとの決定があった。
ところが単にコンクリート造と言っても、沖縄では一般的に2種類の建築構造が用いられている。一つはいわゆるコンクリート流し込みによる鉄筋コンクリート造(以下、RC造と呼ぶ)であり、もう一つは積み上げたコンクリートブロックを鉄筋で補強する補強コンクリートブロック造(以下、CB造と呼ぶ)である。
建物の強度を上げるには一般的にRC造が有利であるが、いかんせん建築単価がCB造より高いという欠点がある。「マゴナ研究室」が今回の工事を発注したハウスメーカーの標準建築単価はRC造が約50万円/坪、CB造が約45万円/坪であった。当然のことながら、実際の建築単価はオプション設備の追加や外構工事などで大きく膨らむこととなるが、少なくとも構造の違いだけで坪5万円の差が生じるのは間違いない。
あまり裕福ではない「マゴナ研究室」にとって、この5万円の差はいかにも大きい。40坪なら200万円の差となる。そこでCB造を採用することで建築単価を抑えつつ、その強度を高める作戦を考えてみた。(左写真は内装前のCB造の建物内部。積み上げられたコンクリートブロックと流し込み部分の様子がよく分かる)
その作戦の一つは生コンクリートの強度アップである。生コンクリートの強度の単位としてよく用いられるのは「コンクリートの限界圧縮強度」であり、N/mm2(ニュートン)の単位で表される。仮に30Nの場合、10cm角のコンクリートで30トンの重さに耐えられる強さと考えればよい。ちなみに発注先のハウスメーカーが標準で採用するCB造の生コンクリート強度は21Nであった。
今回は設計士と相談でこの強度を1.42倍の30Nまで引き上げることにした。国が推進する長期優良住宅、いわゆる100年住宅の基礎用コンクリート強度は30Nとされており、これと同水準の強度を採用することで、我が「マゴナ研究室」も100年住宅となることを期待したうえでの決定である。この大げさな決定にも関わらず、この追加コストは1,300円/坪とさほど大きくないからビックリである。
次に考慮したのがコンクリートブロックの強度である。通常のコンクリートブロックの強度は11Nだが、今回は1.45倍の圧縮強度をもつ16Nの未来型高耐久コンクリートブロック(通称、スーパーブロック)を発注した。このブロックは(株)未来企画、琉球大学の森下教授、㈲大城ブロック工業らが開発したもので、2010年7月から市販されている。
業者の謳い文句では、『従来のコンクリートブロックよりも強度があり、鉄筋コンクリート造よりも建築コストを抑えることができる。スーパーブロックは強度が強いだけではなく、透水性も低く水を通しにくいため、中の鉄筋が錆びにくくすることができることから、スーパーブロックを採用した建物は建物自体も“高耐久”なんです!』と強調されている。スーパーブロックの採用により4,950円/坪の単価アップとなるが、RC造との差額50,000円/坪に比べればはるかに安い。
(左写真は、積み上げられているスーパーブロック。見た目は普通のブロックと何ら変わるところはない)
生コンクリートとコンクリートブロックの強度を約1.4倍へ引き上げたことにより、建築単価はハウスメーカーの標準単価より6,250円/坪のアップとなる。本音を言うと筆者は設計士ではないので、この補強がどの程度住宅の寿命、強度向上に役立っているかはよく分からない。あくまでインターネット上の情報等を参考に、設計士と相談のうえ採用したというのが真実である。しかし追加コストは僅少であり、その効果もマイナスに作用する可能性がないどころか、むしろ100年住宅への期待感を掻き立ててくれる。こうしてみると坪6,250円/坪は住宅建築の保険料としては安いのではないかとも思われてくる。
後づけと思われるかもしれないが、「マゴナ研究室」の建築方針は「生コン強度とブロックの強度を引き上げたCB造を採用することにより、浮いたRC造との差額分を内外装、設備のランクアップ費用として使うことにし、ローコストでリッチな100年住宅を目指す」のであった。
【閑話休題】
今回の記事の目的は、住宅建築でお悩みの読者に何らかの形で役立つ情報を提供することであるとしたが、実は隠された別の目論見もある。それは将来、何らかの事情で住宅(兼研究室)を売却する必要が生じた場合、住宅の特徴を適切に記録しておけば、有利な条件で売却することが可能になるであろうとの邪な考えである。(笑)
2010年05月09日
激写、ヤンバルクイナ
筆者が小学生の頃、沖縄県に生息する天然記念物といえば「ノグチゲラ」がその代表であったが、最近では、1981年に新種として認められた「ヤンバルクイナ」に完全にその座を奪われている。テレビでは「サーターアンダギー」の歌う「ヤンバルクイナが飛んだ」がヒットし、『ヤンバルクイナは飛んだんだ あの雲の切れ間に向かって~』というフレーズを一度は聞いたことがあるに違いない。(左写真は琉球切手に描かれたノグチゲラ)
それほど親しまれているヤンバルクイナだか、その生息地は沖縄の北部の原生林、山原(やんばる)地域に限定されており、ほとんどの沖縄県民は、その実物を拝むことはない。かくいう筆者もテレビや剥製以外でその姿を確認したことがなかったのである。
ところが、先日、数年振りに沖縄北部の東海岸を巡り、最北端の辺戸岬に向かうドライブの途中で、ヤンバルクイナに遭遇する幸運に恵まれた。国道58号を安田(あだ)から楚洲(そす)を経由し、奧(おく)に向かって北上すると、道路のそこかしこに「ヤンバルクイナに注意」といった電光掲示板や標識が目に付く。道路の脇は雑木林で民家も見あたらない。当然に、人っ子ひとりなく、対向車も数分に1台といった状況だ。しかし「ヤンバルクイナに注意」の標識の数が半端ではない。
「これだけ標識があるのなら、ヤンバルクイナに会えるかも」などと話しているうちに、30mほど先の藪に小さな鳥影を確認した。車から降りてゆっくりと近づいたが、もはや影も形も見あたらない。一瞬のことであったので確信は持てないが、ヤンバルクイナの可能性は高い。こうなってくると、ドライブの目的は、急遽、ヤンバルクイナ捜索に変更だ。全域F2.8(35mm-125mm)のレンズを装着したデジタル一眼レフカメラ(CANON Kiss X2)のスイッチを入れ、助手席のカミさんに手渡し、撮影即応態勢に移行する。カメラの設定は藪の薄暗い状況を想定し、絞り優先のF2.8とする。続いて、車の窓を全開し30Km/hで低速走行、後部座席の子供二人を含めた四人で周りを注意深く監視する。
この状態で数分走ると、こんどは右前方にかすかに動く物体を発見した。よく見ると赤いくちばしのヤンバルクイナではないか。すぐさま車を路肩に寄せ、一眼レフを構えて連写である。撮影した写真は合計12枚。写真に記録されるEXIF情報から確認すると要した時間は11秒。ヤンバルクイナの発見から車を止めて撮影に移るのが約5秒とすると、この遭遇劇はほんの10数秒間の出来事である。「ヤンバルクイナに注意」の看板の多さはダテではない。ドライバーは本当に注意して走行しなければならなかったのだ。写真は撮影した中で一番写りのいい一枚であるが、どこにヤンバルクイナがいるのかは簡単には分からない。これでは「ウォーリーを探せ」だ。そこで、写真の中央部分を拡大したのが次の写真である。ここまで拡大すればヤンバルクイナであることが明らかだ。
ヤンバルクイナとの遭遇劇はあっという間であったが、その後もスロー走行で捜索活動を続けていると、後部座席の子供2名がまたもや藪の中にヤンバルクイナを発見した。また、翌日の琉球新報には「5月はヤンバルクイナの繁殖期で活発になる時期」との記事が掲載された。このような絶好なタイミングに、たまたま山原路をドライブしたことが、一日に二度(もしかしたら三度?)もヤンバルクイナにお目にかかれる幸運につながったのである。この幸運に味をしめ、今後、ドライブ途中で「○○に注意」看板を見つけた時は、安全運転に心がけつつ、周りの状況に注意を払っても損はないと思うのであった。(笑)
=======琉球新報の記事 引用開始=======
餌求めクイナの親子 きょうから「愛鳥週間」(2010年5月10日)
野鳥や自然環境保護の普及啓発を図る「愛鳥週間」が10日から始まる。野鳥が繁殖や子育ての時期を迎えている本島北部のやんばるの森では、4月下旬から5月上旬の大型連休中に国の天然記念物ヤンバルクイナが道路沿いを活発に動き回る姿や、親鳥がひなを引き連れて餌を探す姿が撮影された。一方で、この時期には道路を横断するクイナが交通事故に遭う被害も後を絶たず、今年は4月末までに8件発生。その後も2件相次ぎ、8日現在、計10件。4月までの発生件数は過去最多となり、23件発生した2007年の最悪ペースを上回る可能性も懸念される。環境省やんばる野生生物保護センターでは、国頭村内の道路沿いに安全運転を促す看板を設置して、注意を呼び掛けている。愛鳥週間は16日まで。15日には金武町億首川で野鳥観察会も開催される。
=======引用終了=======
2010年01月10日
何でも洗おうプロジェクト第二弾 スラックスの水洗い
5月9日の記事では革靴の水洗いを取り上げたが、今回はその続編、「スラックスの水洗い」である。最近では水洗い可能なスラックスも登場しているが、一昔前のスラックスは、当然に洗濯(水洗い)は御法度で、汚れはドライクリーニングで落とすしか方法がなかった。財政難に悩むマゴナ研究室では、スーツの購入は年に一着、多くても二着である。このため、最近はやりの水洗い可能なスラックスの保有は一本のみで、残りは昔ながらのドライクリーニングタイプである。
筆者の生活拠点となる沖縄は冬でも汗ばむ日が多い。このため、スラックスも二日履くとクリーニング店へ直行だ。しかし、このクリーニング代がばかにならない。スラックス一本のクリーニング代を230円、一年間の出勤日数を250日と仮定すると、スラックスにかかるクリーニング代は年間28,750円となる。最近はスーツの価格破壊が進行し、吊しで1万円、イージーオーダーが5万円程度であることを鑑みると、たかがスラックスのランニングコストはいかにも高いといわざるを得ない。
こうした中、最近では「スーツを水洗いします」と宣伝するクリーニング店をそこかしこで見かけるようになってきた。クリーニング店の宣伝文句は「ドライクリーニングでは落ちない汗や脂質を洗い流すことで、黄ばみやいやな臭いを根こそぎシャットアウト」といった類である。新しもの好きの筆者は、ぜひともお願いしたくなる衝動に駆られるが、よくよく考えると、水洗いなら自宅でもできるのではないかという気がする。さらには、かさむクリーニング代の一部を節約できるのではないか、というスケベ根性もわき上がってくる。果たしてネットで検索すると、ちゃんと水洗いの仕方が紹介されているではないか。そこで今回は、公開手順を参考に、「スラックスの水洗い」にチャレンジし、その効能を検証することにした。
実験にあたっては、洗濯に失敗した時のことも考えて、一番古いスラックスをタンスから引っ張り出してきた。ところが、かかっていたクリーニング店のビニールを剥がしてビックリである。スラックスの至る所にカビが発生しているではないか(左写真)。クリーニング後一度も履いていないにもかかわらず、カビが発生したのは、ドライクリーニングでは脂質が十分に洗い流されなかったためと推察できる。図らずもクリーニング店の宣伝文句が、実験前に確認される事態となってしまった。それはさておき、スラックスの状態を再確認すると長年にわたるドライクリーニングのせいか、生地はバリバリ、ゴワゴワとした質感で、見た目もテカテカしている。
水洗い作業は、タライに40℃程度のぬるま湯を張り適量の合成洗剤を入れることから始まる。ぬるま湯としたのは、「人肌より少し暖かい水温が、汚れが一番落ちやすい」というわが家の財務大臣のコメントを参考にしている。続いてスラックスをタライに放り込み、生地を傷めないように二、三分ほど優しく押し洗いする。(左写真)
すると、ドライクリーニング後一度も着用していないにもかかわらず、ぬるま湯はどんどん茶色に変色していく。左写真は手洗い後の洗濯水の様子。この色を見れば、クリーニング店の宣伝文句が決して過大広告ではないことを確信するに違いない。いくら定期的にドライクリーニングに出しても、落ちない汚れがあるというのは本当だったのだ。
押し洗い後のスラックスは、またもや、ぬるま湯で十分にすすぎ、洗剤を洗い流す。仕上げは、セーターを洗う場合と同じように柔軟剤を入れたぬるま湯で軽くもみ上げる。これで水洗いは完了である。その後は、洗濯機での脱水となるが、その際シワにならないよう、スラックスを洗濯槽内壁に張り付けるように配置し、脱水時間も30秒程度にセットする。
最後の作業は陰干しである。これもなるべくシワが発生しないように、細心の注意を払う。左写真のように、スラックスの形を崩さないように重力をうまく活用する(左写真)。乾燥後は普通にアイロンを掛けて完成である。さて、水洗い後のスラックスの状態はといえば、バリバリ、ゴワゴワとしていた生地はなめらかな感触を取り戻し、テカテカと妙な輝きを放っていた生地は、繊維の凹凸感が甦り、落ち着いた質感を取り戻す。履いた感じもサラサラとした肌触りで、水洗い前と比べると新品ではないかと疑うほどである。その後、4着スラックスを同様の手順で水洗いしたが、同様の成功を収めたことを報告しておく。
このように今回のプロジェクトは、一応、成功との評価であるが、全く不安材料がないわけではない。それは生地の「縮み」である。確かに、今回の水洗いでは「縮み」を確認できなかったが、これを何度も繰り返した場合、本当に縮まないのかという点はいまだクリアになっていない。しかし、この検証作業に取り組もうと思うほどマゴナ研究室は暇ではないし、また、貴重なスラックスを研究のために犠牲にすることも、財務大臣の視線を考えると躊躇せざるを得ない。
相も変わらず、問題先送りのテキトーな研究姿勢と受け取られるかもしれないが、そもそも「水洗い」は、頻繁に実施するものではなく、一着あたり年に一回も実施すれば十分である。仮に多少縮むことがあったとしても、縮みを認識できるころには、スラックスの耐用年数が到来していると思われ、大きな問題ではないと判断する。マゴナ研究室としては、この「縮み」の問題については、チャレンジ精神旺盛な皆さんで結論を出していただくことを期待する。できれば、その結果を筆者まで報告いただければ幸いである。(笑)
【閑話休題】
賢い読者の皆さんは、既にお気づきのことと思うが、5月9日の記事のタイトルは「何でも洗おうプロジェクト第一弾 革靴の水洗い」であり、今回は「第二弾」である。つまり、5月時点で筆者の頭の中には第二弾の記事が控えていない限り、あえて「第一弾」という表現を使うことはあり得ない。種を明かすと、このスラックスの水洗いプロジェクトは2008年5月に実施したものである。それが、なかなか筆が進まず、今回やっと報告することができたのだ。複数の記事を同時並行的に気の向くままに書いていると、まま、こういったことも起きてしまう。だからといって、記事の本質を損なうものではないので、あまり気にしないでいただきたいと、勝手に思うのであった。
2009年05月09日
なんでも洗おうプロジェクト 第一弾! 革靴の水洗い
沖縄の5月は梅雨時であるが、今年はなかなか雨が降らない。それどころか、例年なら天気のグズつくゴールデンウィークも快晴続きである。おそらく最近流行の「異常気象」に違いないが、気候変動を憂うばかりではつまらない。マゴナ研究室では、この季節はずれの晴天を活かし、お天気ならではのプロジェクトを実行に移すことにした。
以前、テレビで革靴を水洗いするクリーニング店が紹介されていた。革製品に水洗いは御法度と思っていたが、くたびれた革靴が新品のように甦り、衛生的な効果も期待できるとのこと。筆者も常々衛生面は意識しており、一日履いた革靴はその日のうちに中敷きを引き出し「陰干し」にしている。しかし、雑菌が繁殖するのか革靴内部は次第に臭くなっていく。Yシャツや背広は定期的にクリーニングするにもかかわらず、革靴は廃棄処分までクリーニングされることはない。自宅で革靴を水洗いできれば、家計に優しいだけでなく、足元の衛生環境の改善にもつながることから、実行のチャンスを窺っていたのである。
実験対象となる革靴は、アサヒシューズの「通勤快足」(型番M3134、現在製造中止)という、少し洒落っ気の入った商品名のビジネスシューズである。インナー部分は通気性の高い化学繊維「ゴアテックス」でカバーされており、タワシでゴシゴシ洗っても革へのダメージは少ない。さらに購入価格も1万円程度と手頃であり、仮にプロジェクトが失敗に終わっても財布へのダメージも小さい。まさに実験にはうってつけである。
水洗いは、大きめのタライに40℃程度の「ぬるま湯を」張ることから始まる。冷水でも熱湯でもないのは、衣類の洗濯で汚れが落ちやすいのが「ぬるま湯」であり、革靴もきっと同じに違いないと推測したからだ。洗剤には強力脱臭で評判の「GAIN」を適量入れ撹拌する。そこに革靴をドボンと沈めるが、革靴には大きな浮力が働くため、そのままではプカプカ浮いてしまう(写真左)。こうゆう時は革靴が完全に水没するように、水を張った洗面器を重し代わりに革靴の上に載せるのがコツである。
1時間ほど経過したら、おもむろに革靴を取り出し、今度はタワシで革靴の表面およびインナーをゴシゴシと洗う。強く擦ると革の表面が傷つくのではないかとの不安に駆られるが、心配無用である。安物の「通勤快足」も無傷であったことを報告しておく。この作業のキモは手加減しないことである。すると、いままで革の表面を覆っていたワックスの膜が徐々に剥がれてくる。このワックスの残骸をひと欠けらも残さずに取り除くことが、最後の美しい仕上がりを約束する。左写真は剥がれつつあるワックスの様子。
続いて乾燥作業に移る。本当は陰干しが革には優しいと思われるが、一日で作業を終えたかったことから、今回は直射日光下での急速乾燥を試みた。快晴ということもあり5時間で乾燥は完了した。最後の仕上げはワックス塗りとなる。固形ワックスをたっぷり塗り込み、少し乾燥したところで革靴の表面をストッキングの切れ端でムラなく磨き上げ、艶を出す。左写真はワックスを塗る前(右)と塗った後(左)の様子。
水洗い前はテカって安物っぽい輝きを放っていた革靴は、不要なワックスを剥ぎ取ったことで新品時の落ち着いた質感を取り戻す。また、履きつぶされ「型くずれ」していたものが、新品のようにシャッキとした形状を取り戻す。これは全く予想外の効果であった。当然、雑菌は根こそぎシャットアウトされ、臭いも完全に消えている。今回の「革靴水洗いプロジェクト」は大成功との自己評価である。
プロジェクトでは、朝に1足目を洗い始め、その乾燥途中でプロジェクトの成功を確信したことから、昼過ぎに残る4足のクリーニングに移り、夕刻には全ての作業が完了した。左写真は水洗い作戦が完了し、靴箱へ帰還する連合艦隊さながらの「通勤快足」の雄志である。(笑)
【閑話休題】
マゴナ研究室には全く同じ革靴が5足あり、それぞれが月曜日から金曜日に割り当てられている。つまり、革靴は一日履いたら翌週までお休みである。このことを人に話すと奇異な目で見られることも多いが、それなりのメリットがあることを紹介したい。
[メリット1] 同じ靴を一週間に一度しか履かないので、靴が傷まないことに加え、十分に乾燥させることができ衛生的にも良い。
[メリット2] 毎日同じデザインの靴を履くのでコーディネイトに迷うことがない。逆に言えば、どの背広にも合うように、オーソドックスなタイプの靴しか選べないというデメリットもある。
このように、全く同じ靴を5足揃えることは、面倒くさがり屋の皆さんには十分な評価をいただけると過信しているが、オシャレに気遣う皆さんにはナンセンスに映るに違いない。まあ世の中、いろいろな価値観があるということで、この話を締めくくりたいが、最後に一つ、筆者が同じ種類の靴を履き回すきっかけとなった映画を紹介したい。それはデヴィッド・クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」という映画である。主人公のマッド・サイエンティストこと「蝿男」が、同じ種類の靴、ジャケットをいくつもクローゼットの中に収納しているシーンがある。これがネタである。
個人的には「ザ・フライ」は、サイエンスホラー映画としては出色の出来映えであると評価しているが、「あまりにも気持ち悪い」という印象が強く残っているため、小心者の筆者はDVDを持っているにもかかわらず、未だ見返したことがないのであった。(笑)
2007年10月21日
騎馬戦に見るランチェスターの法則
秋といえば運動会のシーズンである。今年は娘が中学校に入学し、30数年振りに中学校の体育祭に出かけた。「中学校の体育祭は小学校の運動会と違い、いかにも活気がない」というのが素直な感想である。娘の学校だけがそうなのかもしれないが、反抗期真っ盛りの中学生には、何となくふて腐れた雰囲気が漂っていたのである。
見るところの少ない体育祭であったが、一つだけ興味を引く競技があった。それは紅白2陣営に分かれ帽子を奪い合うお馴染みの騎馬戦である。今回は紅白それぞれに13騎を擁し、2回戦で雌雄を決するルールであった。1回戦は8対1で白組の圧勝。2回戦も7対1で白組の大勝であった。この結果から、ふと思い出したのが、航空戦の観察から提唱され、戦闘シミュレーションに応用されている。ランチェスターの法則である。法則には第一法則「一騎打ちの法則」と第二法則「集中効果の原則」があるが、騎馬戦には「集中効果の原則」が当てはまることを悟ったのだ。
ランチェスターの第二法則について、Wikipediaでは次の通り解説している。
===== 引用開始 =====
[定義]
A0:A軍の初期の兵員数
At:時間tにおけるA軍の残存する兵員数
B0:B軍の初期の兵員数
Bt:時間tにおけるB軍の残存する兵員数
E:武器性能比(Exchange
Rate)=(B軍の武器性能)÷(A軍の武器性能)
[ランチェスターの第二法則]
A0^2-At^2=E(B0^2-Bt^2)
銃器、火砲、航空機が発達して一人が多数に対して攻撃が可能な戦闘を前提とした場合、双方の戦闘力を二乗した上で戦闘力が優勢な方が勝利する。・・・・ 第2法則は、一人が複数の敵を攻撃できる場合に適合する。つまり銃、大砲などの遠距離兵器・近代戦以降の兵器を使った場合である。
===== 引用終了 =====
騎馬戦の対戦結果に上記の第二法則に当てはめると、次の通りE(武器性能比)が算出される。
[一回戦]
13^2-8^2=E(13^2-1^2)
169-64=E(169-1)
105=E・168
E=105/168=0.62
[二回戦]
13^2-7^2=E(13^2-1^2)
169-49=E(169-1)
120=E・168
E=120/168=0.71
紅組のE(武器性能比)は概ね白組の6~7割程度という結論となる。騎馬戦は肉体そのものが武器であり、「武器性能比」ではなく「戦闘能力」と言いかえた方が理解しやすい。戦闘能力は、走力・持久力・瞬発力などの身体能力と味方の騎馬との連携を可能にする判断能力から構成されると思われるが、実際の戦闘を観察する限り、白組の身体能力が紅組を大きく上回っていたとは認められない。恐らく、判断能力の差が戦闘能力の差となったと推察される。面白いのは、たかが3~4割程度の戦闘能力のアドバンテージが、ランチェスターの法則通りに乗数的な効果をもたらし、圧倒的大差の勝敗結果につながったという事実である。
ランチェスターの法則を知ったのは、今から二十数年前、マーケッティングへの応用本である。細かな内容は忘れたが、分かったようで分からない分析という印象が残っており、本もリサイクル処理の運命をたどっている。そもそもランチェスターの法則は死んだ者は蘇らないという大前提のもとに展開される理論であるにもかかわらず、マーケティング本はその部分を完全にシカトしていた。マーケティングの世界においては、戦闘相手(ライバル店)は「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」、いわゆるゾンビ(写真左、Amazonより借用)のように簡単にはダウンしない。したがって、いくら屁理屈をこねても日常生活ではランチェスターの法則を体感できないというのがこれまでの持論であった。日本国においてランチェスターの法則の有効性を体感するには「恐らく、自衛隊に入隊する以外方法はない」と完全に諦めていたのだ。それが運動会の騎馬戦という極めて日常的なシーンにおいて、その有効性を認めることができたことに、個人的にはかなりの興奮を覚えたのであった。(笑)
【閑話休題】
騎馬戦の最終局面において、紅組最後の1騎は白組全騎が襲いかかる中、ひたすら運動場を駆け回り戦闘回避行動を取っていた。この光景に観客も大笑いであった。また津軽三味線を連想させるBGMも秀逸である。動画ファイルを添付するので、ランチェスターの法則を思い起こしながら、ご笑覧いただきたい。
騎馬戦動画
https://www.youtube.com/watch?v=wBusRM1oM6k
2006年07月09日
ピースと慰霊の日
ブリタ水で飼育している金魚の名前はピースである。皮膚病を克服し狭い虫かごでけなげに生きてきたが、6月23日の朝に逝ってしまった(ブリタ水、皮膚病は12月12日、12月31日の記事を参照)。昨年の11月26日に金魚すくいでGETしてから、210日間ブリタ水で生存してきたことになる。加えて、6月23日は沖縄戦が終結した「慰霊の日」である。洒落ではないが、ピースが慰霊の日に死んだというのは、それだけで意味深げである。
なぜピースは死んだのか。ブリタ水に原因があったのか。真相はナゾであるが、面倒を見ていた子供たちの証言、状況証拠などを頼りに真実に迫りたいと思う。ピースの死亡前後の状況は次のとおりである。
①沖縄は6月20日頃に梅雨明けし、気温は上昇傾向にあった。沖縄気象台の記録によると23日の平均気温は29℃に達している。特に、最低気温は22日の26.1℃から23日の27.2℃に1℃以上も上昇している。(那覇市の気温の推移はグラフを参照)
②ピースは22日の晩から、水面に浮かんで口をパクパクさせていた。いわゆる鼻上げである。それを見ていた子供たちは、ピースが苦しそうということで虫かごの水を入れ替えた。水の入れ替え直後にはピースの口パクは治まったが、30分ほどでまた口パクが始まった。
③ピースはそのまま放置され、23日の朝にお亡くなりになった。
以上が全ての事実である。死因を突き止めるために、金魚に関するページをネットで検索した結果、日本ペットフード(以下、NPF)のページで「これが原因に違いない」という記述に辿りついた。それによると、①水に含まれる酸素量は水温の上昇に伴い減少するが、②金魚の酸素消費量は水温の上昇に比例して増加する、とのことである。(グラフはNPFのHPから引用)
ピースの虫かごのサイズは10㎝×15㎝×10㎝=1.5Lである。ピースが亡くなったのが最低気温の早朝であったと仮定すると、1.5Lに含まれる酸素量は27℃で5.77ccとなる。これは、NPFの記述を基にデータの無い部分を直線補間で算出している。5.77cc=5.96cc-((5.96cc-5.48cc)÷5℃)×2℃。
一方、写真からピースの体長は6cm程度と推定される。NPFの注記から体長6cmのピースの体重を15gと仮定すると、ピースが1時間に消費する酸素量は同様の計算で2.1ccとなる。2.1cc=(5.8cc+((15.8cc-5.8cc)÷15℃)×12℃)×(15g÷100g)。これから分かることは、23日の早朝時点では、1.5Lの虫かごに、ピースが2時間45分間生存できるだけの酸素しか存在していなかったということである。まさに「アポロ13」以上の過酷な環境にあったわけだ。
ペットを飼うには、飼い主として、それなりの環境を整えてやることが必要である。そろそろ夏本番であり、また、金魚すくいのシーズンがやって来る。今度、金魚を飼うときには、空気ポンプを設置することを固く心に誓うのであった。
2006年06月20日
嘉手納ラプコンと東京-沖縄ダイヤ
東京への出張はほとんど日帰りである。日帰りで一番困るのは、羽田から沖縄行きの便が、午後4時台から午後6時台まで無いことだ。沖縄を朝一番に発つと、東京着は午前11時頃となり3時には全ての用事が終わることも珍しくない。ところが、発着ダイヤに空白があるため沖縄に帰れない。こんな時は、時間に余裕があるばかりに空港のラウンジでつい飲み過ぎてしまうのが大問題だ。(笑)
先日、取引先との酒宴でこの問題が話題にのぼった。某氏曰く「ダイヤの空白時間は、沖縄進入管制業務、嘉手納ラプコン (RAPCON:Radar approach control)に原因がある。沖縄上空の管制権が米軍(嘉手納空軍基地)に委ねられているため、日本の航空会社は自由に飛行時間を設定できない」とのこと。同席者一同、さもありなん、さすが博識ということで納得した。(図はYOMIURI ONLINEより)
あまりにも新鮮な情報であったので、家に帰ってから、嘉手納ラプコンをネットで調べてみた。ところが、いくら検索しても嘉手納ラプコンがダイヤの空白の原因との情報は見当たらない。この段階で、某氏の発言がマユツバという可能性が高まってきた。しかし、これだけでガセネタと断定してはいけない。マゴナ研究室のモットーは、自らの実験、実証作業により、真理を追究することにある。早速、別の視点から検証してみることにした。
まず、JAL、ANAの2006年6月の時刻表から、那覇空港の時間帯別の発着状況を調べてみる。東京を午後4時から6時に出発する便は、那覇空港に午後6時台から8時台に到着する。仮に沖縄上空の管制権に原因があるなら、午後6時台から8時台にかけて、那覇空港の発着便数が減少しているはずである。左のヒストグラムは、那覇空港の発着便数(那覇-本土路線および那覇-離島路線)を時間帯別に示している。
← ※ヒストグラムのデータはこちらで確認
検証結果はグラフからも分かるように、旅行者の平均的活動パターンを反映し、午前10時から5時の間の発着便数は多いがその後は漸減している。問題の空白時間帯、午後6時台から8時台にかけては25便が発着しており、この時間帯の発着状況が特に減少している様子はうかがえない。
以上のネット検索、時刻表の分析結果を総合すると、嘉手納ラプコンと羽田発ダイヤの空白時間に直接的な因果関係はないとほぼ断定できる。ダイヤの空白時間帯は、あくまで航空会社の都合に基づくものと推測される。そのほか、12時台と1時台の発着便数が減少している点も興味深い。これも憶測であるが、恐らく管制官の昼食時間が影響していると思われる。(おいおい、本当かよ??)
【閑話休題】
某氏の発言は限りなくガセネタであることが証明されたが、その内容はあまりにも、もっともらしく、憶測としては見事であったと言わざるを得ない。ビジネスの現場では「憶測や推測で話してはいけない」などと教えられるが、果たして、憶測や推測はそんなに悪いことなのか、と考えさせられてしまう。過去の踏襲だけでは発展は望めない。未来は予測不能であり、現状を十分に把握した上で、大胆な推測や憶測を展開することは、フロンティアを切り開くには極めて重要な要素となる。結局、推測や憶測それ自体に問題はない。「推測や憶測を真実であるかのように吹聴することが問題である」というのが、今回の結論である。
2006年05月24日
ナゼ高い! 病院のテレビカード
東芝のポータブルDVDプレーヤー、ポータロウSD-P1800をコジマ電気で購入した。画面サイズは8インチ、外付けテレビチューナー付属でアンテナ入力端子(F型プラグ)を備えている点が特徴だ。価格は34,800円とDVD再生専用機と比べると若干高いが、手軽にテレビを楽しめることを考えると、まあ妥当な価格といえる。
残念ながら、今回のマシンは筆者のオモチャではない。身内が入院することになり、退屈しのぎに購入することになった。病院にはベッド毎に14インチテレビ、ミニ冷蔵庫が備え付けられ、有料で利用できる。患者はテレビカードと呼ばれるプリペイドカードを自販機で購入し、テレビ横の料金徴収機にカードを挿入することで、テレビと冷蔵庫が利用できる。ところが、この利用料金のバカ高いのがイタダケナイ。
テレビカードはテレホンカードと同様に、使用可能度数があらかじめ設定されている。テレビや冷蔵庫の利用時間に応じて所定の度数が差し引かれ、残り度数は料金徴収機に表示される。今回の入院先の場合、千円のカードで1000分(16時間40分)のテレビ視聴が可能である。視聴可能時間は病院毎にバラツキがあるが、ネットで調べたところ、800分(13時間20分)から1500分(25時間)が一般的なようだ。(左写真はテレビ横に設置されている料金徴収機)
娯楽のない病院では、テレビがお友達になりがちである。2日でテレビカード一枚を消費することも珍しくない。1カ月では15,000円の出費となり、楽に14インチテレビが購入できてしまう。こうした現実は、病院のホームページに「患者の声」として多数掲示されている。また、テレビ番組「報道特集」でも同様のテーマを取り上げている。ちなみに、これまでの話はミニ冷蔵庫の使用を全く無視している。ミニ冷蔵庫も4日でカード一枚が必要であり、患者への経済的負担はさらに重い。
しかし、病院ではテレビや冷蔵庫の持ち込みは禁止されている。アパートではあるまいし、大型電化製品の持ち込み禁止は当然であるが、入院患者の経済的負担軽減の観点からは工夫の余地があると思われる。
厚生労働省の通達(保医発第0901002号)は、病院に対し、おむつ代、パジャマ代、テレビ代、パソコンの貸出しなど療養以外のサービス提供料金の徴収について、さまざまな条件を付けている。認められるのは「サービス提供に係る費用」の徴収のみであり、その水準は「社会的にみて妥当適切なもの」と規定されている。この前提条件のもとでは、病院が、療養外のサービスを提供するには、レンタル業者にサービス提供を外部委託するのが妥当な選択となる。
病院からみれば、レンタル業者への委託費はまさに「費用」そのものであり、他の病院と比較して突拍子な水準でもない限り、常に「社会的にみて妥当なもの」といえる。しかも、患者からのサービス料金が高いという苦情は、レンタル業者へダイレクトに届かない。このことは、レンタル業者のコスト削減意欲が働きにくい状況を生み出している。結果、いつまで経ってもテレビの視聴料金は下がらない。
問題解決の方法はいくつかあるだろうが、市場競争原理の活用もその一つと思われる。例えば、病院が直接サービスを提供できる環境が整えば、病院はサービス料金の引き下げで需要を喚起し、その一方でコスト削減に努め、患者、病院双方にとって良い結果につながる可能性がある。しかし、現行の厚生労働省通達のもとでは、市場競争原理が機能する可能性はかなり低いと言わざるを得ない。
【閑話休題】
病院でのテレビ視聴サービス料金が高止まりしている原因が、先の推測どおりなら、問題の解決にはかなりの困難が予想される。となると、入院患者の生活防衛の観点から、ポータブルDVDを持ち込むことは、現実的な解決策として推奨されてしかるべきである。一方、ポータブルDVDの電気代は誰が負担するのか、との声も聞こえてくる。しかし、心配する必要はない。病院から電気代を請求されたら、喜んで払う準備はできている。(笑)
2006年04月01日
嗚呼、贅沢のエアポートラウンジ
クレジットカードの発行枚数は、2億7千万枚(平成17年3月末)にのぼり、国民一人当たりのカード保有枚数は約2枚となった。これほどカードが普及してくると、カード勧誘も激烈さを増してくる。筆者は、あらゆる場面で節約生活を実践しているが、義理人情を重んじる性格も災いし、知り合いのカード会社の職員の勧めを断れず、身分不相応にもゴールドカード会員に加入している。最近のカードの多くは年会費無料だが、ゴールドともなると会費は高額で家計への負担は重い。
ゴールドカードの売りは、海外旅行保険が自動的に付いてくることだが、筆者の仕事はドメスティックで海外出張には縁がない。当然、貧乏暇なしで海外旅行も皆無だ。その他、故障時のレッカーサービスをカバーするロードサービス、水回りのトラブルに対応するホームアシスタンスサービスなども付いているが、車は6カ月点検を続けていれば簡単に止まらない。また不幸にも、水回りのトラブルも自分で応急処置ができてしまう。結局、ゴールドカードのメリットを全く実感できない日々が続いていた。
ところが最近、偶然にもエアポートラウンジなるものを知った。羽田など大きな空港には、航空券(搭乗券)とゴールドカードを提示すれば、ロハで使えるゴールド会員向けの贅沢なラウンジがある。羽田の場合、新聞、雑誌は完備。時間制限なしのソフトドリンク飲み放題。テレビを見たければプラズマディスプレイ、奥の部屋にはマッサージチェアもある。個人的には、ノートPC用のコンセント付きテーブルが、出張報告を仕上げるには絶好の環境で気に入っている。(写真は入口の様子:クリックで拡大)
さらに、シャワールームもあるらしい。着目すべきは、アルコール飲料は有料だが、シャワールームは無料で利用できる点だ。つまり、エアポートラウンジの運営主体は、シャワールームは旅行者にとって必須のサービス、ニーズの多いサービスであると認識している可能性が高いということである。これは意外だ。もしかすると、東京のヒートアイランド現象が、人類の発汗作用を促し、汗臭くなった旅行者は、搭乗前にシャワーに入るのが習慣になりつつあるのかも知れない。地方に住む筆者には想像だにし得ない現実だ。(笑)
それにしても、搭乗までの無為な時間をリッチな気分で過ごせるのはありがたい。こうしたサービスがあるのを知ると知らないでは大違いである。いくらお義理で入ったゴールドカードとはいえ、こまめにサービス内容を確認することが大切だと、つくづく思い知らされる。(写真はPC用デスクから見る外の様子:クリックで拡大)
ラウンジの利用は出張や旅行が前提であり、おのずと利用頻度に限界はあるが、少なくとも、今まで何の役にも立たず、家計にも優しくなかったゴールドカード会費の一部を回収できると思うと、すごく得した気持ちになってしまうのであった。
2005年12月31日
金魚とニトロフラゾン
ペットショップのお姉さん曰く、エラ腐れ病かも知れないと。エラが腐れるとはなんと恐ろしい病気だ。差し出された薬は「細菌性感染症治療薬」。熱帯魚業界ではポピュラーな薬で、細菌性の皮膚病や尾腐れ病に効くらしい。かわいい金魚のためと思いレジに直行した。ところが、値段を聞いてビックリである。4gで819円もする。人間の薬に比べても高すぎる。同種の金魚は53円で売られている。生き物の命をお金で測るのはいかがなものかと思うが、薬代で15匹の金魚が買えてしまう。
若干の矛盾も感じつつも薬を購入した。家に帰り、薬を虫かごに投入すると、BRITA水は緑色の微妙な色合い変化した。経過を見ること約一週間。画像の通り、エラの異常はほとんど目立たないレベルまで治癒したようだ。結局、病気の原因は分からずじまいだが、「細菌性感染症治療薬」が効いたのは間違いない。金魚15匹に匹敵する高価な治療薬は無駄な投資ではなかったようだ。
【閑話休題】
説明書で薬の成分を調べてみた。主成分は「ニトロフラゾン」と「スルファメラジンナトリウム」である。さらにネットで検索したところ、ニトロフラゾンが発ガン物質であるという恐ろしい事実が判明した。「目には目を、歯には歯を」、「毒は毒をもって制す」というところであろうか。しかし、ニトロフラゾンは、最終的には排水の形で自然環境に放出される。地球の未来を考えると、こうした物質は極力使用しないに限る。少なくとも子供の誤飲に注意を促すためにも、ニトロフラゾンの副作用を説明書にきちんと書くべきであろう。
2005年12月12日
ポット型浄水器ブリタの実力を測る
確かに、浄水した水は、飲んだ感じまろやかな気がする。ご飯も白くなったように感じる。しかし、これらの現象は、あくまで「感想」であり「観測」ではない。はたして、「感想」は真実なのか。このことは、以前から疑問に感じていたが、水質を測定する手段を持ち合わせていないため、証明は棚上げにされてきた。
しかし、意外な手法で「ブリタ」の実力が証明された。その鍵は「金魚すくい」でGETした金魚である。
通常、金魚を水道水で飼育するには、水道水に含まれる塩素を除去する必要がある。普通は、水道水を2、3日バケツに放置して塩素の蒸発を待つか、中和剤(カルキ抜き)を使用しなければならない。仮に「ブリタ」の実力が本当なら、浄水した水で金魚が飼えるはずである。理屈としては正しい。だが、これを実験するのは動物愛護の精神から躊躇するところである。
WHO(世界保健機構)では、人間が一生飲み続けても健康に害のない飲料水の残留塩素濃度として、5mg/Lの飲料水水質ガイドライン値を規定している。 ホームページで調べたところ、当地(那覇市)の水道には0.7mg/Lの塩素が残留している。少し乱暴ではあるが、人間の約1/2500の体重の金魚(20gを想定)が水道水の中で暮らすということは、体重50Kgの人間が1,750mg/Lの塩素濃度の水を飲み続けることに等しい。人間ならば健康障害を引き起こすこと間違いなしである。
しかし、女、子供には理屈は通用しない。容赦なき家内や子供たちの手により、知らぬ間に金魚による生物実験が敢行されていた。
金魚は「ブリタ」の水で17日間生存している。しかも、水槽(虫かご)が小さいことから、水の交換頻度は2日に一回である。図らずも、金魚が生き続けることができる程に、「ブリタ」の塩素除去能力が高いことが証明されてしまった。
【閑話休題】
それにしても、狭い虫かごで飼われる金魚は不憫である。子供たちは、金魚の家と称して紙コップを虫かごにぶち込んでいる。また、そこらじゅうにシールを張っている。早いところ、新居を準備してやらなければならない。
2005年11月28日
新型冷蔵庫の省エネ度
ほとんど反論の余地もなく、家族そろってヤ○ダ電気に出かけた。お兄さんとの交渉の結果、日立のR-SF42TPAM(416L)の購入を決定した。配達は2日後の午後とのこと。
カタログでメーカーがうたっている「04年省エネ基準達成率261%、160kWh/年」の実力は本当か、電気代は安くなるのか、検証する時間は残されている。
最初に、廃棄の運命にあるシャープの冷蔵庫(SJ-32VG、320L)の消費電力を測定する。しかし、冷蔵庫の電力測定はけっこう難しい。温度制御のために消費電力はかなり変動する。正確な測定のためには、短時間、たとえば10分毎に電流を測定することが必要だが、そんな面倒くさいことはできない。おおよそのところが分かれば十分ということで、クランプ・メーターをセットし、家内に1、2時間ごと適当なタイミングで測定してくれと頼んで、仕事に出かけた。2日間で14回測定した結果、旧型冷蔵庫の消費電力は平均で61.6kwh/月、739.2kwh/年であることが判明した。25円/kwhで換算すると、1カ月の電気代は1,541円となる。
2日間の測定が完了したところで、新しい冷蔵庫が配達されてきた。続いて、日立の新型冷蔵庫の消費電力測定に入る。3日間で23回の測定を実施し、消費電力の平均値は42.8kwh/月、513.6kwh/年と計測された。1カ月の電気代は1,070円となる。かなりアバウトな測定ではあるが、この結果から判明したことは、新型冷蔵庫は旧型との比較で、月間△471円、年間△5,652円の省エネである。10年間では約5万6千円の節約となり、折り込みチラシに書かれている「オトク」金額とほぼ一致する。
なるほど、「この10年間のインバータ技術の活用と真空断熱材の威力はたいしたものだ」とうなずいていたが、妙なことに気がついた。カタログデータは160kWh/年となっているが実測値は513.6kwh/年、カタログデータの3.2倍である。
計測方法が間違っていたのか。確認のために、旧型冷蔵庫のカタログデータを調べると32kwh/月である。年間では384kwh/年となり、やはりこちらも実測値が1.9倍となっている。なぜ、こんなにまでも違うのか。Googleで検索すると、この事象にかんする記述が多数ヒットした。
以下は、「京都省エネラベル協議会」のHPから引用である。
『財団法人日本消費者協会による400Lクラス大型冷蔵庫の商品テスト結果により、メーカーカタログに掲載されている電気代と実際の電気代との間には、製品によって約2倍~4倍の開きがあることが判明しました(『月刊消費者』2004年7月号記事を元に電気代1kWh=22円として計算)。』
記述内容は、筆者の計測結果とほぼ一致している。結論は、新型冷蔵庫への買い換えは、確かに省エネ効果があるが、カタログデータを鵜呑みにしてはいけない。メーカーは消費者の購買意欲をかき立てるために、かなり恣意的なデータを表示しているということであった。
2005年11月13日
「電灯料金」に見る電力会社のアナクロ度
ノートサーバーの電気料金を計算するために、電力会社のホームページにアクセスした。料金表を見た瞬間、トンデモないアナクロ表現が飛び込んできた。
以下、電力会社HPより抜粋。
【主要料金単価表】
1.供給約款の主な契約種別および料金単価(税込単価)は、次のとおりといたします。
【従量電灯】
←(料金表) 『従量電灯』という表現にはかなりの違和感を感じる。電力各社はオール電化住宅を推進しているが、電気料金は『電灯料金』として徴収するつもりらしい。一般人には『従量電灯料金』が一般家庭の電気料金単価を表しているとは、決して思えない。
【閑話休題】
電力会社をネタにしたが、なんと筆者の勤める会社にも、つい最近まで同様のトモデモ表現があった。出張の経費精算で使う「出張旅費申請書」の『車馬賃』という項目である。いったい、どこで馬車に乗れというのであろうか。おそらく、この項目が適用されるのは、西表島の水牛車に乗る時くらいであろう。(写真:西表の大自然に溶け込んだ、実にのんびりとした風景である。)
しかし、水牛車は馬車ではないので、交通費の支給対象外という解釈も成り立つ。さらに言えば、水牛車が観光用であることも踏まえて「車馬賃」が使われたのかもしれない。だとしたら、まさに、人事部侮りがたしである。
2005年10月30日
マゴナ式翻訳精度測定法
前回コラム「Lion Huntを探せ」で、翻訳ソフトの訳文を理解するのは難しいと書いたが、翻訳ソフトにもいろいろある。何の根拠もなく、翻訳ソフト全般を否定するのはいかがなものかと思い直した。そこで、「マゴナ式翻訳精度測定法」を用いて、ネット上で公開されている翻訳ソフトの実力を測定してみた。
「マゴナ式翻訳精度測定法」とは、翻訳ソフトの総合力を客観的かつ簡単に計測する本邦初の手法である。一般に、英語力の低い者が翻訳ソフトを選ぶ場合、適当な英文を日文に訳して、訳文を理解できるかどうかで、そのソフトの実力を測定する。
しかし、翻訳ソフトを使わなければならない貧弱な語学力では、翻訳元の英文を正しく理解するのは困難なはずだ。ならば、翻訳文が原文を正しく表しているかを評価するのも困難なはずである。当然、いろいろな文章を数多く翻訳すれば、翻訳ソフトの実力はかなり正確に把握することは可能であろう。しかし、それでは時間がかかりすぎる。
語学力の低い者が、「翻訳ソフトの実力を短時間に、自分自身で正確に評価したい」という願望を実現したのが「マゴナ式翻訳精度測定法」である。
「ごたくを並べず、とっとと公開しろ」
ごもっともな意見である。早速、その方法を公開しよう。測定は簡単である。
まず、適当な「日本文」を翻訳ソフトを使って「英文」に翻訳する。
次は、翻訳された「英文」を同じ翻訳ソフトを使って「日本文」に変換し直す。
後は、元の「日本語」と変換を繰り返した「日本文」とを比較することで、翻訳ソフトの総合力を測定する。
この手法を用いれば、日→英、英→日の翻訳エンジンの実力を総合的に評価できる。しかも、あらゆる言語に適用可能であり、極めて汎用性の高い「測定法」といえる。
では、早速、実験だ。
インターネット上に公開されている翻訳サービス一覧から、①日本語の変換サービスがあり、②無料、③text変換が可能、④直ぐ試せる状況にあるサイトを選択し、「自宅サーバー作業で難渋【閑話休題】NATアドレス変換」の文章を翻訳してみた。
翻訳作業を繰り返し、記録を取ること1時間。その後、5分間の厳正な検討の結果、各翻訳サービスの実力は以下の通り、○△×の三段階評価で客観的に判定された。最優秀翻訳サイトは「Excite検索」、次点が「Yahoo! Japan」である。ちなみに、○評価は、他の機械サービスと比べて翻訳精度が高いことを示しており、必ずしも翻訳文が完全であることを意味していない。
【評価○】 Excite検索 Yahoo! Japan
【評価△】 ( @nifty 英語ナビ So-net livedoor ) Dictionary.com Infoseek
【評価×】 AltaVistaitranslator VIL Net Worldlingo 地球の歩き方
【閑話休題】
客観的な測定法と言いながら、「完全に筆者の主観で評価しているのではないか」との批判が聞こえてくる。しかし、よく考えていただきたい。翻訳元の文章は「筆者」自身の文章である。この文章の趣旨を一番良く理解しているのは筆者自身である。ならば、原文と変換後の文章の違いを正しく評価できるのも、これまた筆者自身である。言い換えれば、筆者自身の主観こそが一番「客観的」な指標である。ここまで書いて、改めて「マゴナ式翻訳精度測定法」の完全性を確信した次第である。
2005年10月18日
Lion Hunt を探せ
いったい、何の壁紙なのか。
もったいぶらずに、秘密を明らかにしよう。
この壁紙は、NATIONAL GALLERY のHPからダウンロードしたものである。(クリックで拡大、そのまま壁紙としても使える)
「フランダースの犬」でおなじみのルーベンスの絵、「Lion Hunt」だ。筆者は、特に絵心があるわけではないが、十数年前にナショナルギャラリーを訪ねた時、この絵に強く惹かれるものがあったので、今でも、時々壁紙に使っている。
【閑話休題】
ナショナルギャラリーのHPに掲載されているこの絵の解説文(英文)をExcite翻訳で訳してみた。結果はかなり悲惨だ。ジャンルにもよるだろうが、機械翻訳された日本語を解読するのは、原文を読みこなすより難しいことがよく分かる。
○原文(引用)
Peter Paul Rubens, 1577-1640
This painting has surprisingly little colour. It is not a finished picture, but a painted sketch on wood made by the artist to help work out a larger composition. The wood has been coated with 'gesso' which is used to provide a smooth surface for painting. It was then primed with bold horizontal brushstrokes, except on the right where the brushstrokes are vertical. This kind of priming would be covered up in a work intended to be finished. On top of this Rubens dashed down a drawing of the lion hunt in black, grey and brown with some red and then added white paint for the more highly lit areas - which include a dash of white for the teeth of the black warrior at the back left. Some parts of the painting are very lightly indicated - notably the horseman galloping away on the right.
Rubens's dynamic compositions often tended to need more room than he originally planned. On this panel, however, the theme of the warrior attacked by a lion is treated again at the top right. Is it a replay, or a rehearsal for the larger group?
○翻訳結果
ピーター・ポール・ルーベン、1577-1640
この絵には、色が驚いたことにほとんどありません。 より大きい構成を解決するのを助けるのは、終わっている絵ではなく、芸術家によって作られた木における塗装されたスケッチです。
木は絵に滑らかな表面を備えるのに使用される'ゲッソー'でコーティングされました。
そして、権利を除いて、大胆な水平な筆遣いは筆遣いが垂直であるところにそれに用意されました。
この種類の用意は終わるのが意図された仕事で隠されるでしょう。何らかの赤の黒、灰色、および茶色におけるライオン狩りの図面で投げつけられて、次に加えられたこのルーベンスの上では、より非常に点灯された領域(後部に黒人の戦士の歯のための白のダッシュを含んでいる)への白い塗料は出発しました。
絵のいくつかの部分が非常に軽く示されます--著しく右で駆け去っている騎手。
ルーベンスのダイナミックな構成は、しばしば元々彼より多くの余地を設計するのが必要である傾向がありました。しかしながら、このパネルに、ライオンによって攻撃された戦士のテーマは再び先端でまさしく扱われます。
それは、再生、または、より大きいグループのためのリハーサルですか?